色とりどりに飾られた煌めきと行き交う人々の群れで、一年で一番街中が賑わう聖なる夜。

喧騒の中心地でありながら、広大すぎる敷地ゆえに別世界とも思わせるそんな都内某所。
芸能業界というこれまた綺羅びやかな世界の中で一、二を争うビッグカンパニーを担う偉大な男の豪邸の、私物とは思えないほど豪奢な迎賓館。

そこで行われていたのは、すっかり毎年恒例となったグレイトフルパーティー。
それも今年で3回目。


クリスマスカラーの1つである赤のミニドレスに身を包んだキョーコは、ゲストのおもてなしに奔走中であった。


「みなさんメリークリスマス!!
  今年も束の間ですが、お楽しみ下さいね。

  では、テーブルの中央にご注目下さい!!」


すると、水の入った大きなデカンタを上に掲げたキョーコは、会場のあちらこちらに用意された立食パーティー用の丸テーブルに置かれたグラスへとゆっくりと水を注いだ。


「「「わぁ~~~~~~っ!!」」」


すると鮮やかな七色に光る煙がグラスから溢れ出し、聖なる夜に相応しい幻想的な演出にパーティーのゲストたちも目を輝かせた。


「京子ちゃんっ、このまま一緒に写真撮ろうっ!」


こうして1つ1つのテーブルを盛り上げて回るキョーコ。
そしてもう1人の主催者であるマリアも、主にLME関係者に位置付けられる身内のテーブルを同じように盛り上げて回っていた。


「メリークリスマスですわ。」


キョーコより幾分小さめのデカンタを持ち、可愛らしいデコレーションのされた足台を一緒に持って回るマリアは、LMEイチの稼ぎ頭である看板俳優のいるテーブルへとやって来ていた。


「一緒に手伝おうか?マリアちゃん。」


たっぷりの水の入ったデカンタを持つ、まだ身体の小さなマリアを心配した蓮は、優しい微笑みでそう申し出た。

しかし、


「…………。

  結構ですわ。」


プイッと顔を背けたマリア。


「わたくし、他人のモノになってしまわれた殿方には興味ございませんの。」


その言葉にただ困り顔になり言葉の出ない蓮。
隣に立つ社もかける言葉が見つからなかった。


「嘘ですわ。
  他人のモノとはいえ、お相手はわたくしの大好きなお姉様ですもの。
  蓮様に男性としての興味はなくなりましたけれど、蓮様のことはもちろん今でもお慕いしておりますから。
  お手伝い……お願い致しますわ。」


蓮と社のいるテーブルにも、七色の煙が広がっていった。


「蓮様、社様、引き続きお楽しみ下さいね。

  わたくしはお水を足して参りますわ。」


「ありがとう、マリアちゃん。」


デカンタを抱え会場の裏手へと入っていくマリアの背中を見つめながら、社は呟いた。


「マリアちゃん……。本当にお前のことが好きだったんだな。おままごとなんかじゃなく。」


「………………。」


ばつの悪そうな蓮の表情は確認することなく続ける社。


「マリアちゃんももう少しお前と歳が近ければなぁ……。
  もしかしたらってのもーーー」


「それは違いますよ、社さん。

  俺は、例えマリアちゃんがいくつであろうと、キョーコがいる限り俺にはキョーコ以外考えられません。」


「・・・・・・・/////

  分かってるよ。ずっとお前を見てきたんだから。悪かったな、変なこと言って。」


「いえ。大事なことですから。」


「それで、お前の大事なキョーコちゃんは今どの辺を回ってるんだ?」


キョロキョロと広い会場内を見回す社を横目に、いつでもキョーコの位置を把握している蓮は迷うことなく視線を向けた。


以前の共演者たちと写真を撮り終えたキョーコは、そのテーブルにペコリとお辞儀をし、次なる場所へと振り返った瞬間に、恋人であり事務所の大先輩でもある蓮と視線がぶつかり、少しはにかみながらそちらへと歩みを始めた。

ようやくキョーコを見付けた社も、こちらに向かってくるキョーコに大きく手を振り始めた。

そんな社にも気がついたキョーコは、足早に二人の元へとペースを上げた。

その時だった…………


「きゃぁっ…………!!」


会場のフロアーを這う電気コードに足を引っかけたキョーコは大きくバランスを崩しーーー


ーーーバシャッーーー!!


「危なかったね。」


バランスを崩したキョーコは見事蓮に受け止められ、また宙を舞ったデカンタは社によってしっかりとキャッチされた。
が、しかし……


「ごごごごめんなさいっ!!」


体勢を立て直したキョーコが蓮の胸元に手を置くと、そこはしっとり……を超える大量の水によって濡れてしまっていた。


「きゃぁっ!大変っっ!!
  急いで脱がないとっ!
  風邪を引いてしまいますっっ!!」


するとキョーコは一心不乱に蓮のシャツを脱がせ始めた。

リボンタイを手早く解き、ボタンを外し、完全に前を寛げ、今にも肌蹴させんと襟元に手をかけたとき、その手は阻まれた。


「ストップ、キョーコ……。」


「えっ……」


いきなり両手首を掴まれたキョーコは、驚いたのかポカンとした表情で蓮を見上げた。
そんなキョーコと頬と頬とをくっ付けるほどに顔を近づけた蓮は、キョーコの耳元でこう囁いた。


「みんなが見てる……。」


「・・・・・


  ほぇぇぇぇぇぇっっ!!!?/////」


ようやく事態を飲み込めたキョーコは慌てて一歩下がり、蓮との距離をとった。
公衆の面前でしてしまった自分の行いに気付き、顔はゆでダコのように真っ赤になったキョーコ。

蓮は掴んだままのキョーコの両手をそのままに、頬を染め固唾を飲んで見守っていた周りのゲスト達に爽やかに微笑んで一礼し、隣で一部始終を見守っていた社にも目配せをしてから、キョーコを連れ立って会場を後にした。



パーティールームを出て、今は閑散としているゲストルームへと続く廊下へと角を曲がったところでようやく掴んでいた手を解いた蓮。

すると開口一番、キョーコは土下座しようと両手を前にし屈み始めたところ、ペチッという音とおでこへの軽い衝撃と共にそれは制止される。


「はい、もういいから。」


「…………でも…………私ったら!/////
  みなさんの前で、あああああんなっ!/////」


「大丈夫だよ。
  みんな俺たちの交際を知ってるんだし、ゲストもLME関係者や共演者ばかりで、みんな友達みたいなものだ。
  何も問題ないよ。」


「……………………。

  本当にごめんなさい……。」


しゅんとした表情で蓮に背中を向けて肩を落としたキョーコ。




そんなキョーコの背中をしばらく見つめた蓮は、そっとキョーコの肩に手を置き、覗き込むように顔を近づけた。


「じゃあ……責任……取ってもらおう……かな?」


急に雰囲気の変わった蓮の様子に、肩をぴきょっと弾ませ、全身に力が入ったキョーコ。


(こっ、この雰囲気はぁっ!!///)


「ほら、こーんなに濡れちゃったんだし……。
  早く脱がないと…………なんだよね?」


《よぉぉぉるの帝王~~~っっっ/////》
 

 

ゆるしゃんクリスマス文字入り
イラスト:『狭間に在る東屋』ゆるるく様より
※無断転用厳禁※

※Reprinting is prohibited. Do not download※



「もうすぐ日付も変わる。

  俺はキョーコと二人だけで過ごしたい。

  キョーコは?どうしたい?」


「~~~~~っ/////」


みんなとわいわい過ごすパーティーももちろん楽しいが、そもそもあの場にもう一度戻る勇気もない。

それに蓮と恋人になって初めてのクリスマス、初めての自分の誕生日。

二人だけで過ごしたくない訳がない。


「私も……私も蓮と二人でいたい……///」


振り向き思いきって蓮の胸に飛び込んだキョーコ。
 

 



二人だけの幻想的な夜は、まだこれからーーーーー。





Fin.

 

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メリークリスマス~~(*゚∀゚人゚∀゚*)♪

キョーコちゃんお誕生日おめでとう~(*´∇`*)♡あと数分で♪

このところすっかりブランクの空いておりましたpopipiです(。-人-。)
クリスマス……キョコ誕……スルー……する?|д・)チラッ

なんて思い始めてた12月始め。

発見ーーー!!!(ノ≧∀≦)ノ

そうです!
いつも企画やらなぅやらでいっぱい一緒に遊んで下さってる、大好きなマスター様(*´ω`*)

狭間に在る東屋 ※遊びに行かれる際はネチケをお守りくださいませ。

のゆるるく様のお素敵フリーイラストに早々とはいはーい!ヽ(*´∀`)ノ♪と大きく手を挙げさせて頂きましたわたくし!

しかし、、
お話の書き方忘れた、、( ゚д゚)ポカーン

なんてコトもありましたが(笑)

しかも独学で初のイラレ文字入力・・・ハードル高いぜ・・・ww
そんな困難を乗り越えながらも(笑)なんとか完成。゚(T^T)゚。

実は去年のキョコ誕に(大遅刻だったけど)アップさせて頂いたお話の一年後設定だったりしたりしてます……|д゚)チラッ
よかったら目次から探してみてくださいね(*/ω\*)


今回のタイトル。
最初にキョコたんとマリアちゃんがテーブルサービスして回ってたのは、結婚式の披露宴なんかでよくあるドライアイスの演出。
色んな呼び名があるみたいですが『アクアファンタジー』とも言うそうで、そこから付けてます(*´∀`)


ゆるしゃん、素敵な企画&イラストをありがとう~~(*゚∀゚人゚∀゚*)♪