「脱がして……兄さん……」
んっと両腕を伸ばして甘えてくるセツに、つい顔が緩むのが自分でも分かる。
ジャケットを脱がしてやるとセツはそのままベッドにポスンと倒れこんだ。
「セツ……水は……」
寝転がったら飲めないじゃないか……。
「ん~……ブーツも……」
膝を擦り合わせながらブーツも脱がせてくれというセツ……。
………………。
このアングルはまずい……。
今日のセツの衣装は短すぎるタイトなミニスカートだ……。
見るな、俺……。
耐えろ……!
なるべくブーツにのみ意識を向けながら脱がしていく。
だが、チャックのない編み上げブーツは脱がすのにかなり手間取る……。
その間にも早く脱ぎたいのかもぞもぞと足を動かしているセツ。
俺は理性の紐を固く結びながら、ブーツの紐を解いていった……。
何とか脱がし終えると、現れたすらりと伸びた両脚に、固く結んだ筈の理性の紐が緩みそうになる。
「……あついぃ……兄さ……ん……」
まだあついのか……
でも、これ以上脱がすのは……もう……
「セツ……水、飲めるか……?」
身体を起こそうとするものの、力が全く入っていない。
仕方ないな……。
さっきもしたし、いいだろう。
ミネラルウォーターのキャップを開けた俺は、自分の口に水を含みベッドに横たわるセツの口唇へとゆっくりと近づけた。
片手でセツの顎を持ち、そっと水を口移ししていく……。
コクン……と飲み下した後に口唇を離すと、薄く目を開いたセツ。
相変わらず頬が赤い。
見つめ合いながらそっとセツの熱い頬に触れると、俺の手の上にセツが手を重ねてきた。
手も暖かいな……。
すると、頬に触れている俺の手を握りながら徐々に下へと滑らされる。
首も、大きく開いたデコルテも、よく見たらほんのりと紅く染まっている。
このまま下がると……
セツは胸の間まで俺の手を下ろすと、
「兄さん……アタシ、すごくドキドキしてる……。」
あぁ。分かる。感じる。
でも、それは酔いが回っているからだろう……?
それとも……?
「ねぇ、兄さん……」
「何だ……セツ……」
蕩けるような瞳で見上げてくるセツに、勝手に高鳴る俺の鼓動……。
「…………兄さん、もっと……」
もっと?
もっと、何だ?
チョコレートか?
水?水だよな?
それとも、キス……?
いや、もっと脱がせて欲しいとか……?
まさか、もっと触れて…………
コンコンーーー
「………………。」
コンコンーーー
誰だ、こんな時に。
苛立ちを覚えながら仕方なく立ち上がろうとしたその時ーーー
薄暗かったはずの部屋の明かりから、急に煌々とした光へと変わって眼の中に差し込んできた。
それと同時にーーー
「……敦賀さん……?」
扉の向こうから、聞き慣れた恋い焦がれた少女の声が聴こえてきて、ここがテレビ局の控え室であることに気が付いたーーー。
「…………あぁ、どうぞ……。」
カチャーーーと開いた扉から、ひょこっと顔を覗かせた彼女は、もちろんセツでもなくいつもの最上さんだった……。
そして扉の隙間からチラリと見え隠れしている、手にしっかりと握られた紙袋の中身はきっとーーー。
俺は、うたた寝をしていたことも、もちろん不埒な夢まで見ていたことも、決して彼女に気付かれることのないよう、しっかりと敦賀蓮の顔を貼り付けて、彼女を迎え入れた。
Fin.
結局やっぱりバレンタインも遅刻ッΣ(´□`;)
あり得ないシチュエーションは、夢オチに限るよね♡
えへっヽ(*´∀`)ノ♪
ちなみに、お酒に強い某様方と違って、popipiはこのセッちゃんまでとはいかないものの、それに近いくらい弱いのです(* ̄∇ ̄*)
でもほっぺが赤くなる可愛い感じは全くなくて、眼の回りが赤くなるという残念な酔いっプリ♪
遅刻な焦らしぷれいにお付き合いいただきありがとうでした(*^^*)