{作詞・作曲:荒井由実、編曲:瀬尾一三} 

 

東大の時計台闘争が1969年の1月。その時期は世界各地でも大学紛争が燃え広がっていた時代でした。

 

1970年公開のアメリカ映画『いちご白書』は、当時19歳のコロンビア大学生、ジェイムズ・サイモン・クーネンのヒット著作を原作に制作されました(日本上映も同年)。ボクの参考書「キネマ旬報・世界映画音楽辞典」の川原晶子氏の解説によると、「大学紛争真っただ中を生きる平凡な明るい成年を通して、旧態依然とした社会に激しい怒りをぶちまけたフレッシュなニューシネマ」だそうです(ボクは未見です)。 

 

ただ、わが国でこの映画はヒットしなかったようですが、それから5年後に荒井由実が、フォーク・デュオ、バン・バンのために書きおろしたのが「『いちご白書』をもう一度」です。同映画の公開時にまだ高校生だったユーミンが、なぜこの映画をモチーフに学生の挫折体験を歌にできたのだろう?というのは未だに謎です。

 

 確かなことは、この曲がバン・バンの歌で大ヒットしてオリコンの1975年10月27日から6週間もシングルチャートの1位を飾ったことです(しかも100位以内には31週ランクイン)。 先ずはバン・バンのレコード音源です。  

 

次は、ユーミン自身による「『いちご白書』をもう一度」の貴重なライブ映像です。当時の学生運動のデモの様子などが描かれている動画です。

 

 

次は、清水ミチコで「ユーミソ」スペシャルメドレー、「『いちご白書』をもう一度」ほかメドレー(あの頃のまま/Misty China Town日本武道館にて 2024/1/3)です。

 

 

珍しいかも・・。松山千春がこの曲をテレビ公開録画で歌っています。今は亡き山本コータローも一緒です。  

 

城 南海(きずきみなみ、1989年鹿児島奄美出身)による歌唱にも惹かれます。  

 

なお映画「いちご白書」には、既成のロックナンバーが数多く使われ、メインタイトルはジョニ・ミッチェル作詞作曲の「サークル・ゲーム」(バフィ・セント・メリー/歌)で、他にもクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングの「Helpless」や、ジョン・レノン「平和を我らに(Give Peace A Chance)」(1969年6月録音)などが使われています。 

 

時代の空気を感じさせる「サークル・ゲーム/バフィ・セントメリー」(1970年)は、映画の予告編で。    

 

この映画のサウンドトラック盤は、後の映画『アメリカン・グラフィティ』などのように多くのヒット曲がコンピレーションされているスタイルです。こういうタイプのサントラ盤は、これが最初の事例かもしれませんね。