{作詞・作曲:吉田拓郎、編曲:瀬尾一三}

 

 かまやつひろしは、”ムッシュかまやつ”(または”ムッシュ”)と親しみを込めて呼ばれています。スパイダーズのメンバーとして活躍する前は、「3人ひろし」の一員でロカビリー歌手として人気を博していました。 

 

ところで3人の他の2人は、井上ひろし(「雨に咲く花」のヒットは、戦前のヒット曲のリバイバル)、守屋浩(浜口庫之助作詞・作曲の「僕は泣いちっち」が大ヒット)で、その当時「黒い花びら」で第一回レコード大賞(1959年制定)を受賞した水原弘も最初の3人ひろしの一人だったそうです。次に登場する御三家の前哨戦みたいな売り方ですね。 

 

ムッシュといえば、スパイダーズの頃から海外のおシャレ事情に詳しく、あの頃では画期的だったミリタリーファッションをグループに取り入れたり、海外のヒットサウンドをグループの新曲に導入したりと、センスのいいオピニオンリーダー的な存在だったそうです。それもお父上がアメリカ生まれのジャズシンガーのティーブ釜萢なのも、敏感なセンスをお持ちだったかも知れません。

 

さて、ムッシュ最大のヒット、「我が良き友よ」は、広く知られるように吉田拓郎の作詞・作曲です。歌詞の内容はムッシュのイメージとはかけ離れたバンカラなフォークソング。♪下駄をならして奴がくる~が歌い出しですからね。最もバンカラらしくないムッシュも、最初は戸惑ったのではないかとボクは思っていました。

 

B面の「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」のほうが、いかにもフレンチ・フノッブ的なムッシュに向いていたようにボクは思っていました(こちらはムッシュの作詞作曲)。しかし吉田拓郎の先見の明は素晴らしく、発売翌月の昭和50年の3月から4週連続してオリコンのシングルチャート1位を飾りました。 

 

次のライヴ映像は、2006年のつま恋でのムッシュ、拓郎二人出演の歌唱です。バンドを指揮しているのは、オリジナル盤でアレンジした瀬尾一三です。

 

 

吉田拓郎が、Kinki kidsとレギュラーの音楽番組を持っていたときの歌唱では、LOVE LOVE ALL STARSとして以下のメンバーで歌っています。森高さんのドラムを始め、スゴイメンバーです。 Kinki kids vo,g 吉田拓郎 vo,g Bro. Tom vo 森高千里 dr 篠原ともえ vo LOVE LOVE ALL STARS 高中正義 g,vo 坂崎幸之助 mdr,vo 吉田建 b,vo 武部聡志 key 中西圭三 vo 米倉利紀 vo いわぶちかつひこ vo ゴスペラーズ cho。

 

 

バンカラとは真逆のイメージ、沢田研二もカヴァーしています。収録時期は不明です。  

 

珍しい映像は、黛敏郎の司会進行でお馴染み「題名のない音楽会」の公開録画で「我が良き友よ」をムッシュがバンド+オーケストラをバックにフル歌唱しています。とうとうたる黛先生のご高説の後がムッシュバンドの演奏です。  

 

余談ですが、父・ティーブ釜萢と共演するムッシュの珍しい動画。司会は、関口宏さんですから、相当古い番組でしょうか。(歌っているのは、ハンク・ウィリアムズの「ジャンバラヤ」です)

 

 

ティーブ釜萢は、アメリカ生まれでジャズ歌手として戦後日本で活躍されました。同じくアメリカ生まれのジャズトランペッターの森山久とは、奥様同士が姉妹で、ムッシュと森山良子とは、いとこ同士だそうです。 

 

ムッシュが亡くなってもうすぐ8年が経ちます。