{作詞・作曲;Howard Cain/Matt Cain}
(注:これが最初に発売されたシングル盤ジャケットです。この曲、どうやら100万枚以上の大ヒットとなって売れたためか、その後タイトルにもマンダムが加えられ「マンダム~男の世界」に変わっています)
1960年代の後半には、ファッションはIVYの大流行と並行して、男性用化粧品もチックやポマードといったオイル系整髪料から、アルコール系液体整髪料へ市場がシフトしていきました。その先鞭をつけたのは、資生堂のMG5で、団次朗を起用したモノトーンのクールなCMが受けて、丹頂チックは苦境になったそうです。
その丹頂が1970年に男っぽさで人気のあった俳優リチャード・ブロンソンを起用して新製品マンダムのCM展開を始めたところ、そのCM音楽「男の世界」とともに大ヒット。経営危機を乗り越えて、社名を「丹頂」から「マンダム」に変えたそうですから、画期的でした。 このCMソングを歌っていたのは、アメリカのカントリー歌手、ジェリー・ウォレス。しかもこの曲には商品名まで唄い込まれているので、日本でしか発売されていないそうです。そしてこの曲は、1970年10月19日から3週間連続してオリコン(国内チャート)のシングル1位に輝きました。
洋楽曲が全ジャンルの国内チャート1位となるのもレアなケースですが、しかも3週連続ですから、いかにCMのパワーが強力だったかの証明となりました。 これって、日本のローカルヒット曲「SUKIYAKI(上を向いて歩こう)/坂本九」が、ビルボード誌のシングルチャートで全米No.1を3週連続してランクされた現象の逆パターンでしょうか(笑)。
なおその最初の週のオリコンチャートの2位は「京都の恋/渚ゆう子」だったのですから、歌謡曲のテイストも洋楽指向になっていたのでしょう。 まずは世間の男性化粧品の概念を変えた1970年、マンダムのチャールズ・ブロンソン主演のTVCMをフルバージョンです(3つ続きます)。
成功のカギは、60年代の日本ではアラン・ドロンを筆頭に美男子俳優が主流だったところに、いきなり西部劇の主人公のようなスタイルで登場したゴツイ感じのブロンソンが、「う~ん、マンダム!」と渋く唸るところにあったのでしょうか。 そのマンダムを知らしめたCM曲「男の世界/ジェリー・ウォレス」のレコード音源です。
こういう洋楽系一発屋(失礼)によるヒット曲ですから、海外アーティストにはカヴァーはなく(日本でしか発売されていなので当たり前です)、日本では絶唱系の尾崎紀世彦の「男の世界」のカヴァーが見つかりました。
つぎもやはり熱唱系の布施明サンのカヴァーです。
さて、ジェリー・ウォレスなんて歌手が本当にいたのか、日本の広告業界が作り上げた歌手ではないか、と疑う向きもあるかもしれませんが、彼はレッキとしたカントリー歌手で、「If You Leave Me Tonight I'll Cry」というヒット曲を1972年に放っていて、この曲でアメリカのカントリー音楽ジャンルの賞もえているとのことでした。
では、実在の証明の動画、「Jerry Wallace/If You Leave Me Tonight I'll Cry」を(1972年のヒット)当時のテレビ出演時の彼の静止画を数枚集めたYouTube動画です。
最近は、男性用化粧品も一般化していて、噂では普段の生活でも化粧している若い男性もいるんだとか。またシニア向けにサントリーが発売した化粧水も売れているそうです。