{作詞・作曲 M. パガーノ, A. ソリチッロ, F. マレスカ、日本語詞:見尾田みずほ、編曲:小森昭宏}

 

 昭和20年代から30年代前半、カヴァーポップスが人気になるまえは、童謡歌手がアイドル歌手並みに人気があり、子供向けの歌をヒットさせていました。 

 

川田正子、川田孝子、川田美智子(いわゆる川田三姉妹、中では正子が歌った「みかんの花咲く丘」は代表曲)、松島トモ子、小鳩くるみ、伴久美子、安田章子(後の由紀 さおり)、姉の安田祥子、などが少年少女の心をつかんでいました。

 

 それからいく時代かが過ぎまして、子供向けの童謡など忘れてしまっていた1969年に突然登場したのが、皆川おさむの「黒根のタンゴ」でした。当時6歳だったそうで、歯が抜けた前歯でたどたどしく歌って大ヒット。オリコンの11月10日付チャートで1位となり、以来翌年の2月9日まで14週トップを独走したようです。同誌によると、売上223万枚だったそうです。 ここではYouTubeに上がっていた当時のテレビ出演時の映像がなんともカワイイです。  

 

元はといえばこの曲は、同年にイタリアで大ヒットしています。当時4歳だった女の子、ヴィンチェンツァ・パストレッリの歌でヒットし、その日本語カヴァーが皆川おわむ盤というわけでした。オリジナル盤の「黒猫のタンゴ」です。  

 

イタリアで昨年制作されたニュー・ヴァージョンです。子供が15人くらいで合唱して、メインは男女デュエットの構成です。グループ名は「Piccolo Coro dell'Antoniano」となっています。

 

次は、イタリアのアニソン歌手(この分野のシンガーもいるのですね)で、女優のCristina D'Avena(クリスティーナ・ダヴェーナ)がテレビ番組で歌っています(2曲目の曲は、「Le tagliatelle di nonna Pina」という曲だそうです)。2017年、イタリアの国営テレビでの歌唱です。

 

 

意外と国内カヴァー盤が少ないのは、皆川おさむの歌で聴きなれてしまって大人の歌では違和感を感じるためでしょうか。 80年代に声楽家として大変人気があった鮫島有美子さんは、「黒猫のタンゴ」日本語版のカヴァーをアルバム『ドレミの歌』に収録しています。ストレートに聴けてさすがです。

 

 

最後は、姉妹のユニット、チャラン・ポ・ランタンの「黒猫のタンゴ」です。アコーディオンを弾く姉とヴァーカルの妹ももの歌唱が、聴きどころ。ももは、最近ボクがたまたま買って聴いた椎名林檎の新アルバムに椎名さんとデュエットしていました。とても歌が魅力的です。

 

 

ところで皆川おさむの近況は?とWikiを開いたところ、ある児童合唱団の代表を務めておられることが分かりました。御年61歳。今も児童の指導にあの歌を歌っておられるのかな?

 

 あれから55年。思えば1969年は、東大闘争やウッドストック・ロックフェスがあった激動の1年でした。