{作詞:なかにし礼、作編曲:川口真} 

 

初めてこの曲のタイトルを聞いて、驚いたかたも多いと思います。ヘンリック・イプセンが1879年に発表した戯曲と同じ題名でしたから。ボクも、さすがシャンソンの訳詞を手掛けていたなかにし礼ならではの文学指向だビックリしました。立教大学の仏文学科卒ですからね。 

 

シングル盤のジャケットを見て、弘田三枝子の顔の変貌ぶりに二度ビックス。「VACATION」や「子供ぢゃないの」のカヴァーポップスの元気一杯のあのミコちゃんが、「♪私はあなたに命をあずけた」と大人の女性としてイメージチェンジして登場したからです。川口真のメロディとアレンジも素晴らしくて、当時ボクはしばらくの間、聴き入っていました。

 

 資料によれば、移籍してきたレコード会社のディレクターからは曲調などの指定はなかったが、「変身弘田三枝子にふさわしい曲を」との依頼により川口真がメロディを先に作ったそうです。川口真はその他、由紀さおり「手紙」、金井克子「他人の関係」などヒットを連発していた時期です。 発売してから3か月余り経った1969年10月20日から3週連続でオリコンのシングルランキング第一位でした。 まずは、弘田三枝子自身のレコード音源で「人形の家」です。

 

当時の歌手は、持ち歌以外にヒット曲をカヴァーしてアルバムを発売するのが流儀でしたね。ちあきなおみが、「人形の家」を自身のカヴァーアルバムに収録しています。

 

 

次は、女性シンガーのヒット曲ばかりをカヴァーして大成功を収めた徳永英明の「人形の家」もステキです。  

 

ちょっと毛色が違いますが、氷川きよしの力強い歌唱です。

 

 

最後は、島田歌穂のピアノ一台の歌唱が素晴らしい「人形の家」。

 

伴奏者はご主人の島健さんで、なんとベートーヴェンのピアノソナタ「月光」をモチーフにアレンジしています。最後までこの繋がりで奏され、まるで別の曲に生まれ変わったようです。

 

 

弘田三枝子さんは、2020年の7月に73歳で亡くなりました。昭和30年代のカヴァーポップシンガー時代から歌謡曲の歌手への変身が、彼女にとってよかったのかなんて、いまさら言っても仕方ないですが、年を取ってからのスタンダートナンバーをライヴで聴いてみたかったなぁ、としみじみ追悼するpopfreakです。