{作詞:山上路夫、作曲:いずみたく、編曲:渋谷毅} 

 

子供の頃から童謡歌手として、姉・安田祥子とともに本名の安田章子として活躍していたが(当時は松島トモ子、小鳩くるみなど童謡歌手がアイドル的に人気があった)、 由紀さおり名義で「歌謡曲歌手」としてのソロデビューするときの曲が「夜明けのスキャット」。

 

この曲はTBSラジオの深夜の番組テーマとして作られたのを、由紀が歌うことになったといいます。 一番は、歌詞のない「ヴォーカリース」ですが、それをスキャットと名付けたスタッフの着眼が成功の一つの要素だと言われてます。 最初はレコード音源の「夜明けのスキャット」です。

 

 

3月の発売と同時に大ヒット。オリコンでは、昭和44年4月14日から6月2日まで8週連続で一位を記録しました。 次の動画は、同年12月31日に行われた『輝く!日本レコード大賞』で、作詞の山上路夫が最優秀作詞賞を受賞した時のものです。二番は歌詞がありますからね(笑)。

 

 

異色な組み合わせでは、由紀さおり&Toshi(X JAPAN)のデュエット映像がありました。番組は「ふたりのビックショー」ですが、放送年度は不明です。

 

 

その由紀さおりの中古LPをアメリカ人のトーマス・ローダーデールが現地で買って気に入り、彼のビッグバンド、ピンク・マルティニーとのアルバム制作が実現しました。そして発売されたのがアルバム『1969』です。これは1969年のヒット歌謡(ブルー・ライト・ヨコハマ」など)を由紀さおりが彼のバンドをバックにカバー録音して2011年に発売したもの。

 

ボクはこの発売の情報を知り発売日に渋谷のタワーレコードに行き、邦楽売り場の店員さんに「あのー、由紀さおりに新しいアルバムありますか?」と尋ねてもチンプンカンプン。情報が店員さんまで周知していなかったのですね。ガッカリしながらも、CD棚の「由紀さおり」コーナーで一枚だけ入っていたのを見つけ出して買って帰りました。その後、話題となってアルバムがヒットしたことはご存じの通りです。

 

 次はピンク・マルティニーとの共演したライブ映像で「夜明けのスキャット」。2014年来日時のステージです。  

 

こういう大ヒット曲で、歌は由紀さおりとして周知されているためか、なかなか他の歌手のカヴァーは見つけられませんでしたが、珍しくロックバンドのThe Yellow Monkeyが1995年3月発売のCDで妖艶にカヴァーしていました。  

 

最後は、珍しくギリシャでリミックス盤が発売された「夜明けのスキャット」です。副題が「Marsheaux Remix(マルソー・リミックス)」で、リミックスしているのはギリシャのエレクトロ・ポップ・デュオ、Marsheaux(マルソー)です。正確な発売年度は不明ですが、2012年ごろのようです。

 

 

この「夜明けのスキャット」は、一番が歌詞なしのヴォーカリーズのため、世界でも琴線に触れた人たちがいたのでしょう。現在のシティ・ポップ・ブームなどより遥か前の時代の話です。