{作詞:永六輔、作曲:いずみたく、編曲:渋谷毅} 

 

いずみたくが、自らの音楽制作会社であるオールスタッフの設立以前に手掛けた初ミュージカル作品が『見上げてごらん夜の星を』です。初演は1960年7月に大阪のフェスティバルホール。音楽はいずみたくですが、その頃知り合った永六輔と組んで作り上げ、作・演出は永六輔。

 

その成功によって、以来いずみたくはオリジナルミュージカル制作に全力を傾注し、生涯で114本を制作したそうです(オールスタッフのホームページより)。 そのミュージカルの再演を観た坂本九が出演を希望し、坂本九、九重祐美子、ダニー飯田とパラダイスキングらの出演版が実現し、さらに人気を呼びました。次いで坂本九主演で映画化もされ、1963年11月に公開されています。

 

オリジナルミュージカルが映画化されるのは、アメリカのブロードウェイ~ハリウッドの王道にならったかたちです。いずみたく=永六輔のコンビが日本ミュージカル界に新風をふかせましたね。 坂本九のレコードが発売されてヒットしましたが、オリコン創刊以前なのでランキングは不明です。 1963年、坂本九のカバーが第5回日本レコード大賞作曲賞を受賞。坂本九の代表曲の一つとなり(なお「上を向いて歩こう」は、1961年10月発売です)、後に数多くのアーティストにカバーされました。これは同年末のNHK紅白歌合戦での歌唱動画です。

 

 

次は、玉置浩二の「見上げてごらん夜の星を」です。安全地帯の時代のソロ歌唱のようです。 この映像は、安全地帯が1988年に日本武道館で行ったツアーの模様を収めたライブ。坂本九氏を敬愛していた玉置さんが会場に来ていた坂本氏のご家族からいただいた花束を手に、亡き氏に捧げた「見上げてごらん夜の星を」。1985年8月の飛行機事故で亡くなった坂本氏に捧げた「星空におちた涙」という曲が「安全地帯Ⅵ 月に濡れた二人」に収録されています。  

 

女性のカヴァーは、岩崎宏美の2008年の動画です。穏やかな歌唱に癒されます。  

 

ゆずの「見上げてごらん夜の星を~ぼくらのうた~」は、詩曲の一部を加えた斬新なヴァージョン。2016年にリリースして人気曲となりました。

 

 

とても素敵なテレビの演出に、森山直太朗の歌う「見上げてごらん夜の星を」はピッタリです。最終電車が出た後の上総鶴舞駅(小湊鉄道)のレールの上を弾き語り、通りがかった駅舎のホームで間奏を弾き、歌の伴奏をする村治佳織、奏一の姉弟のガットギターのサウンドと画面の構成が素晴らしい。2020年9月7日放送のこのTBS「CDTVライブ」は、なんと生放送だったそうです。

 

 

 

30年ほど前でしょうか、父ナット・キング・コールを忍んだ娘ナタリーのアルバム『Unforgettable』を当時渋谷のいきつけのCDショップ(飲み屋じゃないですよ笑)で見つけて、即購入しました。その娘と父との共演スタイル(ナットの声を取り出して、ナタリーがデュエットする)が、デジタル技術の発展により、その後も広く活用されました。 ここでは、平井堅が在りし日の坂本九の映像とを合成した「アンフォーゲッタブル・ヴァージョン」(とボクは呼でいます)も良かったですね。そういえば平井さん、最近お見受けしませんが、活動しているのでしょうか?

 

 

最後は夏川りみの「見上げてごらん夜の星を」です。大オーケストラをバックに歌う動画です。  

 

日本でのミュージカル公演は、『アニーよ銃をとれ』、『屋根の上のバイオリン弾き』など東宝ミュージカルが牽引し、劇団四季に引き継がれてきました。しかし現在に至るまで、殆どの作品がローカル公演(日本上演のライセンス契約)で、オリジナル作品が極めて少なかったのです。

 

その東宝ミュージカルが始まる前から、いずみたくがオールスタッフで展開し、今も引き継がれているオリジナル・ミュージカルの路線はこれからも発表しつづけてほしいと願っています。