{作詞・岩谷時子、作編曲・いずみたく}

 

日本人作曲家が作る歌謡曲の中では珍しくスケール感のある大きな歌だと思います。両手を広げて歌うべきこの歌に相応しいのは、歌唱力のある歌い手でないと難しかったことでしょう。 

 

そういう意味では、岸洋子はまさにピッタリのシンガーだったと思います。彼女は山形県酒田市出身で、東京藝大声楽科を卒業して二期会員としてオペラ歌手を目指すも病気で断念し、シャンソン歌手となりました。そしてこの歌は1964年の大ヒットとなり、この歌で岸洋子は、第6回日本レコード大賞歌唱賞を受賞しました。  

 

この曲は、「恋の季節」と同じコンビの岩谷=いずみの作ですが、最初は1962年のテレビミュージカルのテーマ曲として歌われ、翌年にはドラマの主題歌として主演の坂本九が歌っていたそうです。  

 

意外にも、椎名林檎がスタジオで「夜明けのうた」を歌っている動画がYouTubeに上がっています。公開は2011年4月なので、東日本大震災への鎮魂の気持ちを込めたものでしょうか。ベースを弾いているのは東京事変のメンバーでもある亀田誠治さん。今最も活躍しているアレンッジャーの一人です。本題とは離れますが、ボクは亀田さんが手掛けておられるテレビ東京の番組「新美の巨人たち」のテーマ音楽が、大好きなのです。ただし、以下のURLをコピペしてご覧ください。

 

https://www.youtube.com/watch?v=Qj_OGCbqplU

 

80年代だったでしょうか、ソプラノの鮫島有美子の人気が沸騰していましたが、彼女も美しく、気高く「夜明けのうた」を歌っています。

 

 

次は、由紀さおりの歌唱です。彼女はファルセットで歌う特徴があり、ふわふわした浮遊感が持ち味だと思います。「夜明けのスキャット」もそうでしたね。

 

 

スケールの大きな歌、と表現しましたが、それを外国曲で例えると、「慕情(Love Is A Many Splendered Thing)」とか、「虹の彼方に」(OverThe Rainbow)というところでしょうか。 

 

いずみたくの持ち味の一つは、このスケール感溢れる作風だと思っているpopfreakにとっては、とても好きな音楽家の一人です。 さて次は、「見上げてごらん夜の星を」をテーマにしたいと思います。