{作詞・村雨まさを(服部良一の筆名)、作曲・服部良一}

 

 服部良一フリークとしては、毎朝のNHKテレビ小説『ブギウギ』を楽しみにしています。今一番楽しみにしているのは「東京ブギウギ」の録音風景なのです。とはいえ、それは後にとっておいて、本ブログでは一歩先回りして服部=笠置コンビの最高傑作といわれる1950年(昭和25年)の「買物ブギー」を取り上げたいと思います。この曲、とにかく笠置シヅ子の次々と展開する歌唱と、それを受けてバンドがまるでアドリブで演奏形式を変えていくようなスリリングな展開が何度聴いてもたまりません。

 

 私見ですが、当時アメリカで人気を博していたジャズの新形式、ビーバップのスタイルを日本的に取り入れたのではないかと推測しています。相手の出音にすかさず返すビーバップならではの、丁々発止、スリリングないわゆるインタープレイです。小編成のコンボならいざ知らず、サウンドはビックバンドそのもの、その大人数バンドと歌手との丁々発止とは、驚くばかりです(もちろん譜面はあるはずですが、ボクには無いようにすら思えます)。

 

それにしても笠置シヅ子のグルーヴィーなことときたら、往年のエラ・フィッツジェラルド、はたまたアニタ・オデイ、いやアレサ・フランクリンすら髣髴とさせますね。脅威のブギの女王です。 おっと音楽聴く前に、一人テンション上がってしまいました。 まずはレコード音源「買物ブギー」です。昭和25年といえば、朝鮮動乱の始まる年に発売されました。  

 

数年後に公開された映画『ペ子ちゃんとデン助』に笠置シヅ子による「買物ブギー」の歌唱シーンがあります。この映像では最初が欠けて途中から始まりますが、当初作られていた3番も歌われているのが貴重です(レコードには収録されていない)。ただし、後にレコード音源からは差別用語がカットされたのですが、ここではそのままです。ご注意ください。  

 

戦後の暗い世相とは裏腹の明るいブギウギの旋風を巻き起こした服部=笠置コンビ。服部が相談したところ、「今は明るいリズムでいくべき」とサジェッションした音楽評論家で「雨のブルース」(淡谷のり子のヒット)を作詞した野川香文の言に従って作った「東京ブギウギ」(昭和22年発売)から3年。

 

この傑作「買物ブギー」を生みだしたパワーは素晴らしい! この難曲にチャレンジしたシンガーも多いです。まずは女性歌手、UA(ウーア)が日比谷野外音楽堂のコンサートで歌っています。とにかくカッコいいリズムが魅力です。  

 

「ひとり紅白」でビックリしたpopfreakです。昭和歌謡をなんでも自分流に歌唱する桑田佳祐のカヴァーも素晴らしい。音楽寅さん、大阪での買い物風景の映像もファンキーです。

 

 

大阪の人気歌手、中村美律子ハンも歌っています。割烹着が似合っています。  

 

今回検索していて見つけました。どういうシンガーが分かりませんが、歌唱力とリズムのこなし方がグルーヴィーな久和田佳代。この曲は、2013年のデビューアルバム「ピニャコラーダ」に収録されているというので、思わず買おうかなと検索に走るpopfreakです。

 

名前も初耳の4人組バンド、バックドロップシンデレラが、2022年発売アルバム収録しています。しかもMVは人形劇を展開。洒落てますね。

 

 

YouTubeの掘り出し物!平成うぐいす芸者こと、うめ吉つぁんが超過激なグループ、電撃ネットワークと共演した壮絶なMVが見つかりました。なんとフルヴァージョンです。そこでボクはかつて彼女のCDを買っていたことを思い出しました。全然聴いてないや。ゴメンネ、うめ吉姐さん。

 

 

今後は極めてスクウェア極まるボニージャックスによる「買物ブギー」。男声4人組でのコーラスハーモニーも珍しいカヴァーです。

 

 

これまた特異なベイビーブーというアカペラ5人組による「買物ブギー」。歌が始めるのは1分~です。そういえば、ベイビーブーのCDを買ったことがありました。

 

 

いかがでしょう。こんな難曲だからこそ、多くの歌唱自慢がチャレンジしたのでしょう。そんな気持ちにさせる服部=笠置コンビのパワーに敬意を表したいと思います。