アメリカを代表する作曲家の一人、アーヴィング・バーリンといえば、「ホワイト・クリスマス」(1942年の映画『ホリデイ・イン』でビング・クロスビーが歌った)が一番有名かもしれませんが、彼より一回り年下にあたる世代のジョージ・ガーシュウィンから「アメリカのシューベルト」とよばれるほど名曲を多く世に送りました。

 

 出世作が「アレキサンダー・ラグタイム・バンド」(1911年)で、一躍作曲家として評価され、以来1946年のミュージカル『アニーよ、銃をとれ』でも、後にアメリカショウビジネス界の”社歌”のようになった「ショウほどすてきな商売はない」もアーヴィング・バーリンの作詞作曲です。 

 

今日の曲「リメンバー」は、1925年の作で、エリン・マッケイとの恋から生まれた曲です。当時人気絶頂のポール・ホワイトマン楽団や、アイシャム・ジョーンズ楽団が録音して、レコードでヒットしたそうです。 この歌を多くのシンガーが歌っています。

 

最初は、フランク・シナトラ。この人ならではのスケールの大きな歌唱です。 フランク・シナトラ「リメンバー」  

 

次は、いつもスウィギーで小粋なアニタ・オデイです。

 

 

同じ女性シンガーでも、妖艶さ溢れるジュリー・ロンドンは、ギターのバックが渋いですね。  

 

ビリー・ホリデイは、軽やかに歌っています。ボクは3月にミュージカル由来の映画『ビリー・ホリデイ物語』を見て暗~くなっていたpopfreakですが、音楽モノの映画の次なる作品は、更に一時代遡ってベッシー・スミスの伝記映画が公開されるそうです。となると次は、マ・レイニーか?なんて先読みが過ぎるかな(笑)。

 

 

次は、巨匠二人のデュエットです。サラ・ヴォーン&ビリー・エクスタイン。最近ボクのお気に入りで、グラミーの新人賞を獲得したサマラ・ジョイのCDを買って歌を聴いたのですが、サラ・ヴォーンを連想してしまいました。このデュエットでのサラにも、ビリーにもシビレます。

 

 

ポピュラーソングの大御所、アンディ・ウィリアムズの「リメンバー」もスローで心に沁みる名唱だと思います。  

 

最後はクリフ・エドワーズの「リメンバー」です。この人はニックネイムを”ウクレレ・アイク”といい、曲が作られた1925年にこの曲を録音しています。珍しくこのヴァースから歌い、1番おわりではセリフが入ります。

 

この喋り口に聞き覚えのある人は、ディズニー映画通だと思います。というもの、クリフ・エドワーズは1940年のディズニーアニメ映画『ピノキオ』の主題歌で、後に多くの人々に愛された名曲「星に願いを」を歌い、コオロギ役として声優もこなした人気ものだからです。

 

 

さて、この曲を作った頃のアーヴィング・バーリンは、恋人エリン・マッケイとの身分差のために彼女の父親に猛反対されていたそうですが、この曲を発表した翌年の1926年(大正15年・昭和元年ですね)の年明けに晴れて結婚できたそうです。

 

 この曲「リメンバー」で願いがかなったのかもしれませんね。