もはや、なりふり構わず古い時代のジャズソングに題材を求めるpopfreakブログです。今回の曲は、日本で昭和初期に人気を博したジャズ歌手でダンサー、川畑文子(写真)を取り上げました。1927年(昭和2年)ニック・ルーカスの歌でヒットした「サイド・バイ・サイド」(Side By Side)が今日のテーマ曲です。

 

資料によれば、この曲は映画などとは無関係で(初のトーキー『Jazz Singer』が登場したのがこの年ですから、まだ無理ですよね)、ダンカン・シスターズがヴォードヴィルショウで歌って流行らせたのが最初だとあります。 「サイド・バイ・サイド」をレコードでヒットさせたのはニック・ルーカスですが、YouTubeには1944年の彼の動画が上がっています。なんと昭和19年のことですから驚きます。

 

 

 

この「サイド・バイ・サイド」とくれば、江利チエミを連想する方は多いと思います。一番を英語、二番を日本語で歌ったレコード音源です。1953年(昭和28年)といえば、日本でテレビ放送が始まった年ですね。 江利チエミの「サイド・バイ・サイド」です。

 

 

 

次は、俳優でシンガー、ディーン・マーティンとコメディアンのジェリー・ルイスがデュエットしている「サイド・バイ・サイド」です。このテレビ番組『Colgate Comedy Hour』の放送録画は1955年(昭和30年)のことです。

 

 

 

エイムス・ブラザーズとマクガイア・シスターズ(エド・サリヴァン・ショウ)による「サイド・バイ・サイド」。50年代に数多く登場したコーラスグループが、ボクはとてもすきです。

 

 

 

次は女性シンガーのケイ・スター。同じ映像に後半はブレンダ・リー(2:45-)の歌唱も聴けます。アメリカの弘田三枝子ですかね。いや逆かな(笑)。

 

 

 

このおしどりデュエットも大好きでした。ジャッキー&ロイ。この曲はアルバム『ダブル・テイク』に入っているのですが、わがレコード棚を調べたら4~5枚ありましたが、このアルバムはなくて残念。でも棚にあったCTIレーベルのLP『TIME AND LOVE』に、最近のマイブログでご紹介した「DAY BY DAY」が入っているのを見つけました。でも取り出して聴いたところ、同名異曲であぶないところでした(笑)。そんなことがたまにあります。

 

    

 

さて昭和7年に日本にアメリカからやってきた日系三世の川畑文子が人気を博したことをご存じのかたも多いかもしれません。戦前のジャズ録音を5枚組LPにまとめた『日本のジャズ・ソング』に彼女が歌った「サイド・バイ・サイド」が収録されていました。

 

このボックスセットには、戦前の彼女の歌唱楽曲をまとめて収録したことに対するご本人からのお礼のレターと当時の写真が掲載されています。しかもデュエットの相方がバートン・クレーンというジャーナリストとして日本に来たが、コロムビアの社員となった歌手です。この人の来歴だけでも研究対象になるくらいの異色のアメリカ人で、代表曲は「酒が飲みたい」というコミックソングですが、ここではそのあたりで留めておきましょう。実に面白いシンガーです。 川畑文子とバートン・クレーン 昭和9年発売です。

 

 

 

戦前でも1941年(昭和16年)の真珠湾攻撃を機に反米(連合国)感情が高まる以前は、大衆はジャズソングやタンゴを愛好していたことがよくわかるボックスセットが『日本のジャズ・ソング』。

 

相当前に発売された貴重な録音揃いですが、最近レコードプレイヤーを買い替えてアナログLP三昧のpopfreakには、この音源を聴きなおす楽しみが増えました。