1932年のミュージカル『ミュージック・オン・ジ・エアー』のために、ジェローム・カーンが作曲し、オスカー・ハマースタイン二世が作詞した美しいラブソングが、「歌こそは君」。 

 

原題は直訳された邦題のまま「The Song Is You」で、初のヒットはジャック・デニー楽団。歌は当時の楽団と専属歌手の流儀に従い、3番からポール・スモール(歌)の端正な歌唱が聴こえてきます。1932年このヴァージョンが初ヒットしました。

 

 

 

さてこのナンバーを多くのシンガーがカヴァーして、歴史に残る名曲に仕立てました。一番の功労者は、フランク・シナトラだと思います。 フランク・シナトラが1943年(第二次世界戦時中です)に軍楽隊ビングバンドをバックに放送録画したものをカラー版化した動画のようです。上手すぎてしびれますね。ソロシンガーとして独立したころで、10代のボビーソクサーがシナトラに熱狂したのがよく分かります。会場にはアメリカの女性救護サービスのボランティアの人たちが鑑賞しているそうです。

 

 

 

女性でこの曲「歌こそは君」を広めるのに貢献したナンシー・ウィルソンの歌唱シーンです。これは1987年のニューポート・ジャズフェスでのライブです。それより20年ほど前に映画『I, Spy』でナンシーが歌っている映像も見つかったのですが、音がよくなくてアップは断念しました。

 

 

 

次は、最近のライブ映像です。グレタ・マタッサというシアトルで活躍しているジャズシンガー兼指導者の「歌こそは君」です。スキャットが見事なので選びました。

 

 

 

次は古い録音です。女性ジャズ歌手のキーリー・スミスが1959年に録音したヴァージョンは、ビリー・メイ楽団のをバックにして歌唱しています。

 

 

 

男性の歌唱では、トランペッターのチェット・ベイカーのしびれる歌。これはストリング楽団をバックに録音したものです。  

 

マリオ・ランツァといえば、アメリカで人気を博したカルーソーの伝記映画に本人役で主演したことで知られる歌い上げ系のイタリア系アメリカ人ですが、本格的なオペラには生涯出演できなかったそうです。38歳で亡くなっています。これは1951年録音ですが、彼の圧倒的声量に驚きます。

 

 

 

50年代から60年代、アメリカの健全な女優兼歌手のドリス・デイのレコード音源です。1956年録音で、スロウな歌唱が見事です。

 

 

popfreakブログでは、歌ものを取り上げることがほとんどなのですが、この演奏を見ちゃったらアップしないわけにはまいりません。 キース・ジャレット・トリオは、1986年にLes Pins Jazz Festivalでのライブです。椅子からずり落ちそうになりながらの熱演に思わず胸が熱くなります。 keith jarrett (p) jack dejohnette (dms) gary peacock (b)

 

 

 

「歌こそは君」(The Song Is You)と歌われる栄誉を受ける人は誰なのでしょう。また歌を愛する人に例えたり、愛する人に贈る名曲は、「Without a song」、「A Song for You」など数知れず残されています。