「クレイジー・リズム」は、1928年にミュージカル『ヒアズ・ハウ』のために書かれたナンバーですが、日本で広く知られるようになったのはクレイジー・キャッツのテーマ曲としてあらゆるメディアで演奏されたためだとpopfreakは確信しております。
そのきっかけとなったのがテレビ番組で、1961年の6月から日本テレビ系列で始まった音楽バラエティショウ『シャボン玉ホリデー』に違いありません。この曲のようなジャズナンバーやスタンダード曲を歌い、踊る映像が日曜の夕飯時にテレビで流れていたなんて、今のテレビを見るにつけ、信じられません。 ちなみに毎回番組のオープニングは、ハナ肇とザ・ピーナッツとのギャグから始まり「牛乳石鹸提供、シャボン玉ホリデー」の掛け声スタート。わくわく見ていたのを思い出します(これは60歳以上の方にはお分かりいただけると思います)。
ザ・ピーナッツとクレイジー・キャッツによる「Crazy Rhythm」です。
では、なぜ1955年にキューバン・キャッツの名称で活動を始めた彼らが、この「クレイジー・リズム」をテーマにしたのかはpopfreak捜査網では掴めませんでしたが、推測したのはアメリカ映画『TEA FOR TWO(邦題:二人でお茶を)』(1950年)がきっかけ説です。 この映画が日本で公開されたのが、本国より2年遅れの1952年。その映画の中にこの曲が歌われるシーンがあります。 歌っているのは、パトリス・ワイモアだそうです。
この映画にはドリス・デイが主演していますが、主役としては当然映画のタイトル曲「二人でお茶を」を歌っています。また別のレコードで「クレイジー・リズム」のカヴァー録音も行っています。
いかがでしょう。この映画が公開された年にハナ肇は22歳。すでにドラマーとして多くのバンドで活動しており、彼がクレイジーキャッツを結成したのは、1956~57年だということや、しかも先輩グループのフランキー堺とシティ・スリッカーズのジャズメンを引き抜いたこと(植木等、谷啓など)や、 所属事務所の渡辺プロダクションの社長の渡辺晋もジャズベーシストであったと考えると、可能性ありですね。しかも曲名がバンド名と同じ「クレイジー」ですものね。(違っていたら、お知らせください)
さらにこの曲「クレイジー・リズム」はナット・キング・コールとパティ・ペイジによっても歌われています。1958年の動画ですが、キング・コールはピアニストとしてキャリアをスタートさせていたわけですものね。
次はエラ・フィッツジェラルドがトミー・フラナガン・グループと歌うイタリアでのライブ。貴重ですね。このスキャットも素晴らしい!
イギリスのジャズシンガー、クレオ・レーンが夫君のジョン・ダンクワースのサックス演奏と共に歌っています。この方のスキャットも天下一品。素晴らしい!
日本でもこの曲は人気だったようで、江利チエミがカール・ジョーンズ(vo)と歌ったレコードも発売しています。時代は1961-2年ごろだそうです。
歌ものではありませんが、映画『コットンクラブ』で登場したグレゴリー・ハインズと兄のモーリス・ハインズの踊りの素晴らしさに感服です。
ということで、「クレイジー・リズム」は日本ではお馴染みのスタンダード・ナンバーとなっています。もちろんジャズの演奏モノも多く録音されており、ゲッツ&J.J.、ベニー・カーターなど 名演奏も人気の楽曲です。
これが今年2022年の最後の記事となりました。なかなか掲載数が増えませんが、10年以上に渡って取り上げた曲もすでに700曲を超えたようです。来年もこのペースでカメさんのようにノロノロ歩んでいきますので、引き続きよろしくお願いしいます。 popfreak