ミッドナイト・イン・パリ

(改訂版です)

 

 popfreakブログ始まって以来初の「フランス語のみのタイトル曲」を見出しにしました。 きっかけは、レディ・ボーデンのCMで聞き覚えのある音楽が流れたのをご覧になったフランス映画にお詳しいブロガーのgeorgesandさんから、「確かこのCMに使われている曲は、ウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』という映画で使われていた曲であり、それを作ったのはシドニー・ベシェですが・・」と、この曲をpopfreakブログで取り上げて欲しいとリクエストをいただいたためです。 popfreak探偵事務所(笑)としてさっそく調査しました。そして問題のロッテCMを突き止めました、なんて大げさですね。

 

 

 

そういえば、確かに聞き覚えがある曲でした。そしてボクもこの映画を観たことを思い出して調べまくった結果、ご指摘の通りの曲を作ったのはシドニー・ベシェ(クラリネット、ソプラノ・サックス)であることと、それが2011年に制作(日本では翌年5月公開)されたウディ・アレン監督作品『ミッドナイト・イン・パリ』という映画で使われていたことです。 

 

ベシェは1897年(19世紀!)にニューオリンズで生まれ、ルイ・アームストロングと人気を二分するほど人気があったジャズミュージシャン。1939年には創立間もないブルーノートレコードで録音した実績を持つほどの大ベテランジャズ奏者です。 それと思い出したのは、その映画は主人公がパリでタイムスリップして、色んな偉人達と巡り合うという不思議な映画だったことです。 その映画の冒頭に流れるのが、この「SiTu Vois Ma Mere(If You See My Mother)」です。演奏はシトニー・ベシェのグループです(パーソネル不詳)

 

 

 

もちろんレコードが50年代に発売され、ヒットしたのですが、ベシェは戦後パリに渡ってパリで音楽活動のみならず、結婚生活も送ったそうです。そのためかボクの知る限りでベシェのレコードはフランスのレーベル、ヴォーグで出ていた記憶があります。 以前にも書いたことがあるのですが、戦後パリで人気となったアメリカのジャズは平和を象徴する音楽としてフランスで大変人気があったとのことなので、ベシェも居心地が良かったのかもしれませんね。(個人の見解ですが。笑) 調べてみましたら、シャンソン界の大ベテラン、リシュエンヌ・ドリールが1960年にこの曲を録音していました。とても端正な歌唱で、ベル・エポック時代のシャンソンを彷彿とさせてくれます(これも、個人の感想です。汗) リシュエンヌは、1917年パリの生まれで、場末の劇場で歌いながらコンテストでチャンスをつかみ、1942年に「サン・ジャンの私の恋人(Mon amant de Saint-Jean)」の最初のヒットで注目を集めて、ミュージック・ホールでも活躍したそうです(永田文夫著「シャンソン」)。なお歌詞は歌詞はJean Broussolleという人だと分かりましたが、どういう人かは不明です。

 

 

 

それとこの曲は、YouTubeに最近の音源・動画がたくさん上がっています。おそらく、ウディ・アレンの映画の影響ではないかと思います。なかにはとても面白いものも多いです。 最初は、シリル・エイメーというシンガーがギターとのデュオで歌っています。2018年の録音です。

 

 

 

次は、ティアナ・エヴァマリーとアヴァロ・ジャズ・バンド。なんか楽しい動画です。アーティストの詳細はまったく不明です。

 

 

 

次もお気にいりの動画です。Kim Hoorweg & Robin Nolan Trio オランダのライブハウスですが、昼間の町がみえるとてもいい感じの会場での演奏です。やはりアーティストのことは全く分かりませんが、ボサノヴァのリズムがステキでとてもいい感じです。

 

 

 

シドニー・ベシェのカヴァーだけに、クラリネット演奏がたくさんアップされていますが、中でボクの独断で2つ選びました。 最初は、「The man Overboard」というグループが、Jazz Amarinoisというコンサートで 2015年に演奏している動画です。 後で気づいたのですがこの動画には投稿がいくつかあり、読んでみると95歳の方のコメントで、「30年以上シドニー・ベシェの音楽を聴いているが、この演奏がもっとも素晴らしいものだ。ありがとう。」とありました。この長老に敬意を表してアップしました。

 

 

 

もう一つは、オーソドックスな演奏で、Oriol Romani, clarinete. Artem Zuliev, saxofon.それにウッドベースの女性もナイスです。

 

 

 

ウディ・アレンが映画音楽で2011年に復活させたシドニー・ベシェの音楽。これも世界を巡る映画ならではの名曲発掘効果ですね。 そういえば、シドニー・ベシェの名を日本でも決定づけた代表曲「可愛い花」。作曲者ベシェ自身の演奏です。この曲「Si Tu Vois Ma Mere」ではありませんが、いい曲を生み出す音楽家ですよね。

 

 

 

ただ、popfreak探偵事務所では男性歌手のカヴァーを見つけることができませんでした。どなたかご存じでしたが是非ご一報ください。なんて、大げさですね。