♪君にはみつかりっこないよ 

これから一生かかっても ボクより優しく君を愛してくれる男なんて 君にはきっとみつからないさ 

どんなに探したって ボクみたいに君を想ってくれる男なんて  

 

 こんな熱い想いのたけを綴った1976年のルウ・ロウルズのヒットナンバーには「別れたくないのに」という邦題がついています。 

 

作ったのは、ケニー・ギャンブルとレオン・ハフのコンビ。といえば70年代に一世を風靡したフィラデルフィアサウンドの代表曲、やや後期のナンバーということになります。ソフトでストリングスをバックにした華麗なソウルミュージックで日本でも知られた曲です。なんでもルウ・ロウルズは、あのサム・クックとシカゴの高校で同級生だったとのこと。サム・クック・ファンのボクは、なんだかそれだけでグッときちゃいます。 ルウ・ロウルズ、1976年ライヴ映像です。いいですねぇ。    

 

実はこの曲を取上げようと思ったのは、マイケル・ブーブレのデビューアルバムに収録されているこの曲をYouTubeで観た友人との対話からでした。CDではデュエット歌唱ではありませんが、動画ではローラ・パウジーニと二人で歌っています。この名唱も素晴らしい。  

 

次は、マリー・オズモンズとクリス・クリストファーソンのデュエット。マリーは70年代にオズモンズという兄弟グループで人気があったオズモンド・ファミニーの一人で、テレビ番組でのクリス・クリストファーソンとデュエットしています。

 

 クリスは、『スター誕生』でバーバラ・ストライザンドとお熱い演技とデュエットを見せて、三島由紀夫原作の映画『午後の曳航』では、妖艶な人妻役のサラ・マイルズと濃密なラヴシーンを演じ、かつジャニス・ジョプリンの恋人だった説も飛び交うモテモテのカントリー歌手。 このデュエットを見ていると、彼は女性を夢中にさせる技を心得ているかのようですね。もちろん映画は演技でしょうが(笑)。  

 

フィラデルフィア・サウンズの代表アーティストだったスリー・ディグリーズが、後年(2016年)にフィラデルフィア・トリビュートアルバムを出した中にこのギャンブル=ハフの名コンビ曲をカバーしています。

 

最後は爽やかコーラスのレイ・コニフ・シンガーズで「別れたくないのに」。すがりつく感がゼロの淡々とした歌唱もステキですね。  

 

思えばマイケル・ブーブレを見いだしてプロデュースしたデヴィッド・フォスターの選曲センスの素晴らしさに改めて感心します。

 

このファーストアルバム、ペギー・リーで聴いた「フィーヴァー」、アイルランドのヴァン・モリソンの「ムーンダンス」のほか、ジョージ・マイケルやビージーズ、クイーン「愛という名の欲望」以外にも、トニー・ベネットなどでお馴染み「For Once In My Life」、シナトラやボビー・ダーリン「ザッツ・オール」、プレスリー「好きにならずにはいられない」、さらにはポール・アンカの「あなたの肩に頬をうめて」も選んでいるなんてあきれるほどの名曲粒揃い。

 

 この「You'll Never Find Another Love Like Mine」もボクの気持ちを分かって欲しい方がどこかにいるのであれば、ぜひ満月の下ででも歌ってみたい気分の名曲です。