恋人よ我に帰れ/B.ホリデイ、リー、ミルドレッド、エラ、美空ひばり他 この曲(原題:Lover Come Back To Me)の作曲はシグムンド・ロンバーグで、作詞はオスカー・ハマースタイン2世ですから、彼がリチャード・ロジャーズと組む前の時代の作品です。

 

これは1928年のミュージカル『ザ・ニュー・ムーン』の中の大ヒット曲です。 でもトライアウト(予備開催)期間は不人気だったため根本的に改造され、楽曲も追加されました。それが「恋人よ我に帰れ」と「朝日のようにさわやかに」などで、そのお陰で大ヒットのロングラン公演となったとか。分からないものですね。 

 

しかもこのミュージカルは、1930年にはMGMで、1940年には同じMGMでジャネット・マクドナルドとネルソン・エディの主演で映画化されています。 歌詞はもちろん、恋が成就した後にあなたは去って行った悲しみを歌ったもので、あなたと歩いたあらゆる道を私は一人で歩いた。

 

空は青く、夜は冷たいと歌っています。 恋人が去ってしまうような決定的なミスをしてしまった後で後悔に苛まれる人の気持ちを思うと、帰ってきてほしいと願わずにいられません。 多くのカバー録音がありますが、何故か女性シンガーが多いようです。まずは日本で熱烈なファンの多いビリー・ホリデイのヴァージョンが人気ですね。 ビリー・ホリデイ 1944年の録音です。このころビリーは、レスター・ヤングとまだ仲睦まじかったのでしょうか?  

 

次はペギー・リー の1946年の録音。まだ初々しい歌唱に大物になる片りんが感じられるのはボクだけでしょうか?  

 

珍しいダイナ・ワシントンのテレビ出演で「恋人よ我に帰れ」ともう1曲歌っています。短いですが、さすがの歌唱に感服。1959年のTV放送だそうです。 ロッキン・チェア・レディという愛称で人気があったミルドレッド・ベイリーが、1939年にベニー・グッドマン楽団とともに録音したものです。

 

エラ・フィッツジェラルドの1955年、Verveレーベルでの録音で「恋人よ我に帰れ」

 

次はスウィンギーなアニタ・オデイの1961年録音(Verve全盛時代ですね)です。  

 

これも相当古いですが、SPでしか音源が見つかりませんでした。ナット・キング・コールの「Lover Come Back To Me」素晴らしいです。  

 

 

最後は美空ひばりの「恋人よ我に帰れ」。ボクもCDを持っていますが、この語感、リズム感、歌のセンス、ともにいうことがございません。1982年中野サンプラザホールでのリサイタルだそうです。  

 

なぜか女性歌手がカヴァーする「恋人よ我に帰れ」が多いようですが、もちろん男性シンガーの録音もあります。でも女性が失恋して悲しむ姿はイメージしやすいですが、ミスをやらかしてお相手の女性に呆れられるというお間抜け男では、様にならないし同情もされないですよね(苦笑)。 

 

なんとこの曲、popfreakブログはこんなに長く続けているのに、まだ記事にしていなかったようでビックリです。いまさらながら世界の名曲の数々の奥深さを痛感しております。