「スタンド・バイ・ミー」といえば、ベン・E・キング。

 

 「スタンド・バイ・ユー」といえば、Official髭男dism。 

 

そして今日、久しぶりのpopfreakブログで採り上げる曲は、「スタンド・バイ・ユア・マン」です。この歌詞にご注目ください。 これはアメリカのカントリー・ミュージック界の女性歌手、タミー・ウィネットがプロデュサーと共作して創唱した1968年の曲で、タミーの意思に反して全米No.1を獲得。瞬く間にカントリー界の人気曲として多くの歌手が取り上げました。 なぜ「意思に反して」なのかは後述するとして、まずはタミーのライヴから。(なおWikiなどには、姓は「ワイネット」と書かれていますが、ここでは昔からの呼称「ウィネット」で通します)

 

この曲を選んだ理由は、韓流ドラマに使われていたカーラ・ブルーニに「スタンド・バイ・ユア・マン」が使われていて、グッと惹きつけられてしまったからです。説明するまでもなくカーラは元フランス大統領、サルコジさんの妻でイタリア人です。 アンニュイな歌い方に日本でも隠れファンは多いようです。 カーラ・ブルーニで「スタンド・バイ・ユア・マン」

 

 

次は、また意表を突いた映画のワンシーンでも使われています。 ブルース・ブラザーズがライヴ出演したバーでの歌唱・演奏です。この時に「ローハイド」も歌っていて、ロック、ソウル音楽のファンにはお馴染みのシーンです。  

 

さてカントリー界の大御所、ドリー・パートンも数名でのコンサートで歌っています。そもそもカントリー界は支持基盤の(なんていうと選挙みたいですが、笑)南部で根強い人気がありますが、風土としては保守的な体質があるようです。 

 

この歌の歌詞を見ると、男が好き勝手にふるまい女は男を慰める役割という内容です。この2020年の今では、ブーイングが飛んできそうですね。私見ですが、あのテイラー・スウィストがカントリー界からポップス界に転じた根拠は、この点にあったのではないかとボクは推測しています。 

 

Sometimes it's hard to be a woman 

Giving all your love to just one man 

You have bad times, and he'll have good times 

Doing things that you don't understand 

 

貴方は辛い時を過ごしているのに、男は女には理解できない楽しい時を過ごしてる。 なのに女は一人の男につくさなきゃ、ってなに~。 この部分がタミーの意思に反した部分じゃないかと思いますが、No.1になっちゃうと自曲を批判しにくくなりますよね。  

 

次はやはりカントリー界の大物歌手で、「ローズ・ガーデン」をヒットさせたリン・アンダーソンも歌っています。余談ですが、コロナ籠り期に『THE HITMAKER 筒美京平の世界』という6枚組を聴いていたら南沙織の「17才」のイントロがモロすぎて笑いました。  

 

超ベテラングループ、ディキシー・チックスの「スタンド・バイ・ユア・マン」もレパートリーにしています。王道のカントリーミュージックサウンドです。つい先日のことですが、女性カントリーグループである彼女たち(今は2名です)ディキシー・チックスは、グループ名をチックスだけに変えたとのこと。ディキシーという言葉が奴隷制度を背景にした差別的語であることに抗議の意を込めて改名を決意したとのことです。 

 

このグループは、2003年に当時湾岸戦争を推し進めたブッシュ大統領と同じテキサス出身であることから、あるコンサートで大統領を激しく批判した気骨ある女子たち。「でもこの曲は歌うんですよね」、とボクは少し複雑です(笑)。  

 

最後はエルヴィス・プレスリーの歌唱。もうこの人にかかれば、男女も差別も乗り越えた世界。なにしろ“黒人のように歌う白人”としてサンレコードのサム・フィリップスが惚れ込んだくらいですから。

 

ちなみに最初にご紹介したカーラ・ブルーニの「スタンド・バイ・ユア・マン」のみならずタミー・ウィネット盤も使われている韓流ドラマは、『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』。昨今大ブームのネトフリドラマ『愛の不時着』のソン・イェジンが主演していますが、物語の展開の余りの遅さにボクは着いていけませんでした(苦笑)。