1940年にジョニー・マーサーが作詞し、ルーブ・ブルームが作曲したバラード(原題:Fools Rush In)。ボクの持っているレコードにも多く録音がありますが、どの歌手の曲を聴いて特段グッとくるタイプの曲でもなく、いわば“佳作”“ああ、あの曲ね”って感じなのですよ。

 

それが思いがけず多くの歌手が録音していました。ですからボクには意外なのです。せっかくの再発見なので、男性編・女性編と分けてご紹介したいと思います。まずは男性編から。


1.1940年、この曲が発表されたときにグレン・ミラー楽団とトミー・ドーシー楽団(feat.フランク・シナトラ)が録音したとのことですが、ここではシナトラの定番曲となったこともあり、後者で。ビッグバンドの専属歌手の出番は2番から、とのルールに則り1分22秒のところから歌っています。いやー超甘くて蕩けそうです。これゃ女性が夢中になるハズだわ。

 

 

2.その20余年後、爽やかな俳優兼カントリー歌手として活躍したリッキー・ネルソンが歌った映像(動画)がありました。端正でハンサム。1963年に録音してリヴァイヴァルヒットさせたようです。

 

 

3.R&B界のブルック・ベントンも同様にこの曲のリヴァイヴァルに一役買ったそうです。アップテンポでストリングス付きという編曲が受けたのでしょうか?ユニークな「恋は愚かと言うけれど」です。

 

 

4.不思議といえば映画『バッファロー'66』(1998年)の劇中、主人公で監督のヴィンセント・ギャロの父親役だったベン・ギャラーザが歌うシーン。この映画は当時観たと思いますが、あまり記憶がないのです。映画そのものが奇妙な設定だったことは覚えています。映画で使用されたのはジョニー・デスモンドのヴァージョンだそうです。

 

 

5.ボクのお気に入り、ジョニー・ハートマンもアルバム『アンフォゲッタブル』に収録していました。インパルスのハートマンアルバムは全部持っていたはずなのに、このLPが見当たりませんでした。ハートマンお約束のクルーナーぶりの本領発揮の歌唱です。

 

 

6.なんとエルヴィス・プレスリーもアップテンポで歌っています。1971年の録音ですから、映画『オン・ステージ』で奇跡の復活を果たしたあたりですね。

 

 

 

7.サミー・デヴィスJrも歌っています。ボクの愛聴盤でベイシー楽団と共演したアルバムと同じころかな?1964年のリプリーズ盤。スウィンギーで大胆で素晴らしい歌唱です。

 


8.男性最後は、50年代から60年代に一世を風靡したフォー・フレッシュメンです。彼らのオープンハーモニーがボクは大好きでした。特に5人のトロンボーン奏者と共演したアルバムは最高の出来だと多くの人にお薦めしましたが、誰ひとり買った人はいなかったようです(笑)。

 

 

歴史に残る名曲、というよりどこかで聴いたことあるな、という曲のほうが長く生き延びる見本のような「恋は愚かと言うけれど(Fools Rush In)」。あるいは作詞のジョニー・マーサーがキャピトルレコードを設立してから、自社での録音で多く歌うように仕向けたのかな?(笑)