1972年1月、ボクは初の海外旅行で訪れたニューヨークで、幸運にもその時ブロードウェイで最も人気を博していたミュージカル『ジーザス・クライスト=スーパースター』を見ることができました。

 

それまで国内でミュージカルも観た経験がないのに(幼稚園のころに叔母に何度も連れていかれた宝塚以外は、笑)、その衝撃ときたら・・・。

 

場所はマークヘリンジャー劇場。このミュージカルの開幕は1971年10月12日で、トータル720回のロングランを成功させ、後に『キャッツ』『オペラ座の怪人』『エヴィータ』などヒットを連発することになるアンドリュー・ロイド・ウェーバーの名を世界中に轟かせました。暗い舞台に床板全体が滑り台のように傾斜している中を出演者が歌い、踊る激しい演出にあっけにとられました。

 

その中でテーマ曲♪ジーザス・クライスト・スーパースター~と歌われるのに次いで印象にのこった曲がこれ。原題は「I Don't Know How To Love Him(他の邦題は「彼をどう愛せばいいの」)」、これをイヴォンヌ・エリマンが歌った場面は忘れ難し。NYミュージカルのメッカ、ブロードウェイをロンドン・ミュージカルが席巻した最初の成功作を見られたことも忘れ難し。

 

さてその主役の一人、マグダラのマリア役を演じたイヴォンヌ・エリマンは、1973年の映画化でも主役を演じてこの曲を歌っています。ミュージカルの映像はさすがのYouTubeでもあまりアップされていないので、これは映画版です。

 


次はイギリスの歌姫、サラ・ブライトマンの歌唱です。ただし画面は合成ですので、若干不自然ですが。ちなみにこの方、ある時テレビで美声の秘訣を尋ねられて「納豆にオクラ。ネバネバした食品を毎日食べます」という返事が今も忘れ難し。

 

 

ヘレン・レディのレコードは1971年2月に発売され、ヒットしています。彼女はオーストラリア出身で、一時日本でも人気がありましたね。TV出演時の動画です。

 


ちょっと異色なところでは、シニード・オコーナーもライヴで歌っています。なにかと素行が問題児の彼女、歌は良いのですがねぇ。

 

 

この曲のカヴァーは多いのですが、選べるものが少なし(笑)。最後はエリーヌ・ペイジのライヴ映像です。ボクは後に『キャッツ』のロンドン公演オリジナルキャスト盤2枚組を買ったのですが、そこでも看板曲「メモリー」を歌っています。ロイド・ウェバーの秘蔵っ子なのでしょうかね。

 

 

このミュージカルのプロデューサーは、後に映画『サタデー・ナイト・フィーバー』を成功させたイギリス音楽界の大立者、ロバード・スティグウッド。このミュージカル『ジーザス・クライスト=スーパースター』は最初は「スーパースター」がポップスのヒット・シングルとなったのをきっかけにデッカレコードが、これを1枚のアルバムにしたところゴールドディスクに輝き、次はアルバムを主体にしたコンサート・ツアーが始まったそうです。

 

次に演出家トム・オホーガンがロック・オペラと題して舞台作品として構成した“イエス最後の7日間”を描いた作品であることは知られていますが、開幕と同時に賛否両論が巻き起こり、宗教団体から激しい抗議活動が展開されましたが、結果的には大成功を収めました。


表現の自由を貫くことが、長い目で見ると時代の評価を得ることになるというお手本みたいな作品でしょうか。