1951年にアーヴィング・ゴードンが作詞・作曲した美しいバラード。この曲とくれば、反射的にナット・キング・コールを思いつく人はアラセヴ(笑)。70歳前後の方でしょうか。
ナット・キング・コールのヒットでお馴染みですね。1951年のTV動画ですが、吸い込まれるようなキング・コールの心温まる歌唱です。ちなみにオリジナル盤の編曲は、ネルソン・リドルだそうです。
さてヴェルヴェット・ヴォイスのあとは正統派クルーナー、ジョニー・ハートマン。この人、歌う時に鼻の孔が膨らんでいるのではないの?などと無礼な人もいますが、あながち的外れではないような気もします(笑)。
ジョニー・ハートマン
さて新世紀歌手の代表はマイケル・ブーブレ。この名曲バラードを軽くリズムに乗せるアイディアがナイス。この人の声も素晴らしい。
さてペギー・リーのヴァージョンも有名です。思いっきり大甘なストリングスをバックに歌うペギーの声って、どうも金属加工されているような気がするのですが・・・。特に映画『大砂塵』の主題歌「ジャニー・ギター」の声はエコーが気になります。彼女の代表アルバム『ブラック・コーヒー』の温かいヴォイシグを聴きなれたせいかな?
「アンフォゲッタブル」は、ナット・キング・コールのヒットから数年後、ダイナ・ワシントンが1959年に再ヒットさせたとのことです。面白いのは、時にステレオの創世記だったためか、左チャンネルにVoのみ、右はオケのみ、という珍しい定位になっている点です。
いくつかのヴァージョン中、白眉はエスター・フィリップスのテレビ版。1976年にフランスのエンリコ・マシアスのTV番組で歌っています。エスターのコスチュームも出演者全員まるでシェーラザートかハーレムかと思わせる中近東モノ(途中で写るエンリコ・マシアスの隣はダリダかな?)。中東のベリー・ダンスがぴったりな好演出(笑)で、エスター独特のうめき声歌唱もたまりません。思わず笑いを誘われます。
シェーラザード企画に気持ちもそぞろ。思わず定番のナット・キング・コールとナタリー・コールのデュエットライヴ映像を忘れそうなほどです(笑)。なお1991年のナタリーのアルバム『アンフォゲッタブル』をCDショップで見つけた時の喜びは忘れられません。
このアルバムはわが敬愛するプロデューサー、トミー・リピューマによるもので、特に「アンフォゲッタブル」はデヴィッド・フォスターがデュエット企画を依頼されて二人でキャピトルの倉庫にオリジナル・テープを探しに行ったことがデヴィッドの伝記に書いてありました。お二人のグッド・ジョブを寿ぎたいpopfreakです。
最後はマーリン・ジャーモン(アメリカのオーディション番組、The Voiceコンペ優勝者)とジョン・リジェンド(ご記憶でしょうか、映画『ラ・ラ・ランド』で売れっ子シンガーを演じた)とのデュエットです。
ジョン・リジェントの歌の上手さを映画で堪能したので、今回の「アンフォゲッタブル」もなかなかの出来栄えだと感心しました。オーディション番組「 The Voice Live Finale 2019」での映像です。なおストリングスの後ろに歌手が立って歌うという演出は、イヤーモニター(バックの演奏をイヤホンで聴きながら歌う)が普及する以前には考えられませんでしたね。ちょっとビックリの構図です。
あの世と現世のデュエットの第1号なのでしょうね。このデュオに感激してCDを愛聴したボクは、しばらく後にでた「アンフォゲッタブル」の父娘デュエットの映像までVHSで買った記憶があります。この後あの世と現世の交信デュエットが盛んになったことは嬉しいような切ないような。でもこのプロデュースを行ったトミー・リピューマもダイアナ・クラールのアルバムを最後に鬼籍に入ってしまいました。
マイケル・フランクス「アントニオ・ソング」、クリス・モンテス「愛の聖書」も「ディス・マスカレード」のジョージ・ベンソン、マーク=アーモンド「ヴィヴァルディ・ソング」、ジョアン・ジルベルトがポルトガル語なまりの英語で歌った「ス・ワンダフル」、それにわれらがYMOをA&Mレコードで発売することを決めた愛すべきプロデューサーがトミーでした。