独特のアンニュイなイメージで日本でも人気の高いフランソワーズ・アルディのデビュー曲がこれ。郷ひろみさんよりずいぶん前の話ですね(笑)。
1944年1月17日、パリのオマール街に生まれたフランソワーズの父は計算器工場の工場長、母は会計係りだったそうですから、社内結婚ということですね。
14歳のころから、ボーボワールやロマン・ローラン、バルザックやカミュの作品を読み漁ったそうですから、文学好き少女だったようです。彼女の奥深い詞の世界はそこに由来しているのでしょうか。
バカロレア(資格試験)に通った時にギターを買ってもらい、ソルボンヌ大学に通いながら家族のために作詞・作曲を始めたといいます。
その内歌手になりたくなって、電話帳に乗っているレコード会社に次々に電話をかけてオーディションを受けたということですから、なんとも積極的な行動派。ちょっとイメージが違いますね。
当然というべきか、その売り込み作成はことごとく失敗。その反省からか音楽を勉強し始め、クラブで歌っているところを今度はヴォーグ・レコードのディレクターに見出されてデビュー。その曲が「男の子と女の子」だったというわけです。
時に1962年ですから、フランソワーズは18歳。その後メディア活動を続けて人気を得ました。そのフランソワーズ・アルディ「男の子と女の子」。この動画は今でいうミュージックビデオ(またはPV)にあたるのでしょうが、フランスでは60年代初頭からジュークボックスの映像版(カフェなどで設置されている機器にお金を入れたら映像付音楽が再生される)のスコピトーンのための映像のようです。
ただ画面に登場する遊園地の色んな遊具のなかで、後ろに控えた二人のモデルさんのスカートがヒラヒラするところで、小心モノのボクはドギマギ。歌よりそちらが気になってしまうって、MVとしては逆効果では?(笑)
でも当時のフィルム(16mm?)の味わいがいいですね。原題は「Tous Les Garcons Et Les Filles」です。ボクにも分かるシンプルなフランス語(笑)。
シルヴィ・ヴァルタンもカヴァーしています。レコードヴァージョンですが、いいですね。
フランソワーズと同年にデビューしたシェイラが、アリス・ドナという方とのデュエットで歌う動画がありました。シェイラも活動歴長いですよね。
検索していて見つけました。意外や意外、ユーリズミックスがライヴで「男の子と女の子」をロックで決めてます。アン・レノックスがカッコイイですね。
次はカーラ・ブルーニがテレビ番組で歌った映像。へぇ、脱力系だと思っていたのですが、こんなポップな歌も歌うのかぁ?とビックリしました。あまり向いているとは思えませんが(失礼)。
最後はやはりアルディの初期のテレビ映像です。4人組のバンドをバックにフランソワーズが直立不動で淡々と歌う姿がいいですね。バックは楽器を持った男性諸君なので、スコピトーンの映像みたいにスカートヒラヒラで気が散りません(笑)。
アルディといえば「さよならを教えて」(録音は1968年)とか「もう森へなんか行かない」(1967年)が思い浮かぶのですが、このポップ感は生来のものなのでしょうね。
それにしても原題「Ma jeunesse fout l'camp」(ものの本によると「私の青春は逃げ去ってしまう」の意味)を「もう森なんかに行かない」とは、意訳どころか超訳でしょう。でも芸能界に馴染まなかった彼女の特性を反映したのだとすれば、名訳というべきでしょう。もっともこの曲「Tous Les Garcons Et Les Filles」を超訳はできないですねぁ。まんまですから。
なおこの曲はDupinさんのリクエストによるものです。ありがとうございました。