1992年に製作された映画『ボディ・ガード』は、映画として大ヒットしましたが、サントラのほうもベストセラーになりました。しかもこれには主役を演じたホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」、「I Have Nothing」、「Run To You」に加えて収録されている「I'm Every Woman」などホイットニーの歌唱トラックが6曲も入っていて、サントラというよりちょうどピーク期を迎えていたホイットニーのニュー・アルバムのように買った人も多かったのではないかと思います。

 

かくいうボクもサントラを買い、映画も見に行きました。ケヴィン・コスナーも好きだったので楽しみにしていたのですが、出てくる「歌」は良かったものの、映画の物語も展開も腑に落ちない消化不良のまま劇場を出ました。どうも期待が大きかっただけに、狐につままれた感が否めずガッカリしたことをいまだに覚えています。みなさんはいかがだったのでしょうか、と気になります(笑)。


さてそのサントラでも光っていた「アイム・エヴリィ・ウーマン」は夫婦のデュオ、ヴァレリー・アンド・シンプソンのコンビが、1978年にチャカ・カーンに提供したナンバーです。

 

1978年とえいば世を上げてディスコ・ブーム。ビージーズを筆頭に主に白人アーティストの楽曲を中心に構成されていた『サタデイ・ナイト・フィーヴァー』が世界に吹き荒れていたころですね。


この曲は、ちょうどルーファス(グループ)と離れてソロ・シンガーとしてスタートしたチャカ・カーンの大ヒット曲となりました。

チャカ・カーン

 

 

それを14年後にリヴァイヴァル・ヒットさせたのが、ホイットニー・ヒューストン。映画『ボディガード』中でカヴァーによってこの曲をよみがえらせてくれました。

 

正式のミュージック・ヴィデオでは、創唱のチャカ・カーン、ホイットニーの母シシー・ヒューストンに加えて、この曲を創作した一人ヴァレリー・シンプソンも出演しています。気配りのキャスティングを感じますね(笑)。

 

 


次はホイットニーとチャカの二人の共演です。このライヴでは二人みならず、後半ディーヴァたちが登場して盛り上がります。はっきり分かりませんが、メアリー・J・ブライジにブランディの顔も見えますが、なにより異彩を放って目立つのはホイットニーの毛皮でしょう(笑)。

 

 


最後は御大アレサ・フランクリンの歌唱で「アイム・エヴリィ・ウーマン」。

 

 


思えばブームというのは恐ろしいもので、かつてのディスコ・ブームも、また90年代に火がついたホイットニー・ブームも、ともに映画が大いに貢献したわけですよね。昨年の映画『君の名は。』にしてもちょっとしたRadwinpsのブームでもありました。


少し皮肉を言えば、昭和初期初の歌謡大ヒット「東京行進曲」(佐藤千夜子・歌)も同名映画の主題歌でしたから、いつの世も歌のヒットは映画と連動することで大衆の心をつかんできたことに変わりはないようです。