テイスト・オブ・ハニー、とくれば「スキヤキ」をヒットさせた女性2人組のポップ・ユニットを思い出す人と、男前トランペッターを思い出す人とでは、世代が違いますね(笑)。
前者はディスコ・ブームに咲いたケバ目のリズムがポイントでしたから、アラフィフでしょうか。後者は、オーバーシクスティ、アラ還ってところでよね(失礼)。
まずはアラ還世代が熱中した(人もいたハズ)「ビター・スイート・サンバ」で始まるオールナイト・ニッポンでお馴染み、ハープ・アルバートとティファナ・ブラスのカッコいい演奏です。
珍しいテレビ出演時の映像がありました。このグループは、メキシコのリズム音楽“アメリアッチ”を世界に広めた功績大ですよね。
この曲は、彼らが1965~6年頃にヒットさせて、日本でも一躍有名になりました。オールナイト・ニッポンは1967年にニッポン放送で始まった深夜放送の代表番組。もしかしたら、この曲のヒットがハープ・アルバートの曲を番組オープニングに選ぶのに貢献したかもしれませんね(推測に過ぎませんが)。
ハープ・アルバートとティファナ・ブラス
このトランペットのイケメンさん(アルバート)は、70年代に人気のレコード会社“A&M”の「A」さんであることはつとに知られるところ。もう一人の相棒ジェリー・モスさんとともにカーペンターズやたくさんのヒット・レコードを社長として放ちました。
でもこの曲「テイスト・オブ・ハニー」は、ハープ・アルバートの作曲ではなく、ボビー・スコット(ジャズ・ピアニスト兼ヴォーカリスト)が戯曲『蜜の味』(1960年)のNYでの上演時に、幕間の音楽として作曲し、彼のコンボで演奏されたのが最初。
歌詞はリック・マーロウ。この戯曲の映画化(1961年)のために作られたものではありません。
意外にもこの曲の最初のヒットは、1962年のマーティン・デニーによるもの。この名前に覚えのあるかたはYMOファンに違いありません。
そうです。細野晴臣がマーティン・デニーの「ファイアー・クラッカー」をカバーしてヒットさせるために組んだ3人組バンドが、イエロー・マジック・オーケストラであることはYMOファンにはお馴染みです。こちらに興味のある方はYouTubeで検索してみてください。もちろんYMOのカヴァー盤も聴くことができます。
こちらが元祖「テイスト・オブ・ハニー」のマーティン・デニー楽団のレコード。1962年のヒットです。(もちろん静止画です)
これまた日本で異常に人気のあったダイナマイト・ガール、ブレンダ・リーが1967年の来日時に歌っている「テイスト・オブ・ハニー」です。映像は乱れてますが、ご容赦。
次は、いつものねっちょり歌い上げ系女王、バーブラ・ストライザンドの1963年の歌唱です。まさにバーバラの独壇場といえる世界でしょうが、う~ん、トゥーマッチ!と敬遠される方の気持ちもわからないではありません(笑)。
ジャズ系ねっとり歌唱といえばこの方。サラ・ヴォーンです。レパートリー広いですよね、サラさん。
待ってました、大統領!と大向こうから声がかかりそうなのが、アンディ・ウィリアムズ。心がとろけそうな歌唱がさすが。1966年のテレビ番組出演時です。
意外にチェット・ベイカーも歌っていました。この心細い歌唱に、幾多の女性たちが紅涙をしぼったことでありましょうぞ。女泣かせのチェット・ベイカー。そういえばこの前の映画は、ヤク中から抜け出る話ばっかりでしたね。もっと音楽シーンがたくさんあればよかったのに。本人の映像とかも交えてねぇ。
これがスゴイ。あまり知られざるアメリカのジャズ歌手、モーガナ・キングのヴァージョンは、とんでもなくドラマティックです。最後までお聴きいただきたいと思います。
ほかにも「テイスト・オブ・ハニー」は、ものすごい数の歌手たちがカヴァーしています。
今日のセレクションには、苦労しました。popfreakとしては、隠れファンのマーティン・デニーとモーガナ・キングを喜んでもらえば本望でございます。