昨夜、思いがけず大きな満月を観ました。7月に二回目の満月、それをブルームーンというそうです。花鳥風月に無頓着なpopfreakには、月光の光が車の運転席まで差し込んで、驚くほど明るかったのが印象的でした。

もちろんだれもが思い浮かぶであろう「ブルー・ムーン」はすでに5年ほど前に記事にしています ⇒マイブログ「ブルー・ムーン」へリンク
ので、今回ネタはブルーグラスの代表的ナンバーを思い出して。

この曲を作って自分のグループで歌ったのがビル・モンロー。最近ではあまり接する機会がないブルーグラスですが、40年代~50年代には人気がありましたね。ボクは、ブルーグラスといえばレスター・フラットとアール・スクラッグスの「フォギー・マウンテン・ブレイクダウン」が脳内再生します。映画『俺たちに明日はない(原題:Bonnie and Clyde)』(1967年)で使われ、プチ・ブルーグラス・ブームが日本でも起こりましたね。フェイ・ダナウェイとウォーレン・ビューティに刺激されたのか、フレンチ・スノッブ、セルジュ・ゲンスブールはその時ラヴラヴだったブリジット・バルドーとのデュエット「ボニー・アンド・クライド」を作りました、って話はこのブルー・ムーンとは関係おまへんが・・・。


さてビル・モンロー&ブルーグラス・ボーイズによるテレビ出演時の映像です。次に紹介するエルヴィスのカヴァー・ヴァージョンでお馴染みになった後の話なので、エルヴィスの話もしています。

この演奏スタイル、フィドルやフラット・マンドリン、バンジョーなどを使うブルーグラスの典型的な編成です。

後もう一つ。このオリジナルは三拍子であることにご注目いただいて、と。




この曲を世界に知らしめたのが、エルヴィス・プレスリー。

1954年7月、サン・レコードで発売することになった「ザッツ・オール・ライト」のカプリング曲(アナログ時代のシングル盤にはA面、B面の2曲が必要でした、と蛇足ながら)。

エルヴィスは将来の相棒となるギタリスト、スコッティ・ムーアらと原曲の三拍子を四拍子に替えてアレンジしてしまいましたが、それを聴いてサム・フィリップは“ポップになった”と喜んだそうです。確かにポスト・エルヴィス以来、この曲は四拍子の曲となってしまった感ありです。




なんとレイ・チャールズも「What'd I Say」風にソウルフルに歌っています。もちろん四拍子です。




1995年のポール、ジョージ&リンゴによるプライヴェート・セッションでも、ポールの歌唱は明らかにエルヴィスを意識していますね。




50年代から60年代に人気があったパッツィ・クラインが、1963年2月テレビ出演時にこの曲を歌っています。カントリー・シンガーなのにエルヴィス風の四拍子で軽快です。パッツィは翌月の3月5日にプライヴェート飛行機の墜落により、30歳で死亡しています。




「ブルー・ムーン・オブ・ケンタッキー」。

曲を作ったビル・モンローのオリジナル三拍子を、エルヴィスが録音時に四拍子に替えてしまった珍しいナンバー。エルヴィス以後は、四拍子がスタンダードになってしまいました。チャンチャン(笑)。


余談ながら、拍子を変えてしまうことで思い出すのは、かつて自民党幹事長だった武部さん。どういう経緯だったか覚えていませんが、ニュースの会見場面で(なぜか)千昌夫の「星影のワルツ」を“素”で歌い出したのはいいけれど、右手のリズムは2拍子で行進曲風で、歌は4拍子(ギョギョッ)。

なにしろ「ワルツ」ってタイトルについている曲のリズムを勝手に変えてしまうくらいですからね~。政権で上に立つと、なんでも意のままということでしょうか。


いきなりですが、平安時代の末期に隆盛を極めた時の権力者が、自分の権勢を満月に例えた藤原道長の詠みし歌を。ブルームーンを観たのかどうかは分かりませんが(笑)。


「この世をば わが世とぞ思う 望月の欠けたることも 無しと思えば」



いやいやこれよりも、『平家物語』の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらはす」のほうが今のわが国には相応しいような気がします。