ブルー・バートン/アン・バートンのジャケットです

「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」の名コンビ、リチャード・ロジャーズ作曲、ロレンツ・ハート作詞による1930年のミュージカル『シンプル・サイモン』のためのナンバーですが、なんとニューヨークでの公演以前にカットされて使われなかったといういわくつき。しかもこのミュージカルでは、かの名曲「Dancing on the Ceiling」もカットされたとか。大プロデューサー、フロレンツ・ジーグフェルドが命じたのかな?外せと。

マジ?でも、こんなこともあるのですね。


まるでそんな楽曲の運命とは反比例するように、「He (She) Was Too Good To Me」には余りに多くのカヴァー録音が残されています。


ボクはこの人のこの緩やかなテンポ感で、この曲に目覚めました。

アン・バートンのアルバム『ブルー・バートン』、A面3曲目です。ピアノはルイス・ヴァン・ダイク。何度聴いたことでしょう。




さて次はカーメン・マックレー。ボクはこの人のアルバムを10枚以上持っていますが、その割にはあまり聴くこともなく(苦笑)、しかもマイ・ブログで歌唱を取り上げることも少ない歌手です。

けだし、彼女の『Great American Songbook』と題された2枚組ライヴアルバムは絶品でした。




次は、再びのCarly Simon。ある時期からスタンダードを歌い始めました。ヴァースから歌っています。




名唱の一つにあげたいと思います。Bette Midlerは多彩な人ですが、「Wind Beneath the Wings」「From A Distance」と並んでこの曲も素晴らしい。ここでは「Since You Stayed Here」とメドレーになっています。

ドラマティックでありながら、感情に流れず端正な歌唱。おまけにこの映像で綴られる写真もセンスがいいですね。




男が歌う「She Was Too Good To Me」は、この人を措いてなし。チェット・ベイカーのヴォーカルは、女性の心をグイグイ引っ張るようですね。いかがでしょう、女性のみなさま。




そういえば女心をくすぐるボズ・スキャッグスも、男の色気あり。この人のライヴを観たときの後姿に男の色気を感じたものでした(アブなッ、笑)。




さいごはナタリー・コールの「He Was Too Good To Me」のしっとり感で秋の夜長をお過ごしください。11月に来日するそうです。





それにしても、女性が歌う場合は「He」、男性が歌うと「She」。あくまで人称にこだわるのがアメリカ・ポピュラー音楽界の流儀なのでしょう。

われらがイカツイ小林旭さんが、「♪神戸にいるときゃ、忍(しのぶ)と呼ばれたの~~」と甲高い声で歌うのを聴きなれたボクたちには、歌う主体によって「He」だの「She」だの人称を歌い分ける意味がよく分かりません~~笑。


この歌、「昔の名前で出ています」の作詞は、星野哲郎さんでした。関係ないか。