popfreakのブログは中高年向きと思われているせいか、前回のようにニルヴァーナの「Smells Like Teen Sprit」などを紹介するとアクセス数も普段より少なく、ちょっと(相当?)ガッカリします。

やはりオールド・ミュージックこそが本領だと思われているのでしょうか(苦笑)。さてさて気を取り直して、と・・・。


「夕日に赤い帆」でサム・テイラーの演奏をアップしましたが、“ザ・マン”というミドル・ネイムというかニックネイムのもととなった定番「ハーレム・ノクターン」を紹介せずにはいられなくなりました。

テナー・サックスのソロ・プレイが「むせびなく」(笑)という形容詞で表現されるようになった元祖的ナンバーがこれです。

サム・“ザ・マン”・テイラー 1955年のお馴染みヴァージョンです。他にも別ヴァージョンが数々ありますが、これが最も売れたサム・テイラーの定番だと断定します。当時よく聴いたので自信あり(笑)です。(イン・テンポになってオルガンが入ってくるのがこのヴァージョンの特徴です)





「ハーレム・ノクターン」は1940年、アール・ヘイゲン(トミー・ドーシー楽団などで活躍したトロンボーン奏者)が作曲し、ランディ・ブルックス楽団のテーマ曲としてヒットしたそうです。

そのランディ・ブルックス楽団による1946年録音盤。オーソドックスなダンス・バンド・サウンドで、テナーではなくアルト・サックスがフューチャーされています。



その後、ソロ・プレイヤーとしてこの曲を録音したのはジョージ・オールド。この人がサム・テイラーより先で、1953年9月に録音。再びリヴァイヴァル・ヒットとなったそうです。


ジョージ・オールド



サム・テイラーはジョージ・オールド盤ヒットの翌年、1954年に録音したそうですから後の売り方がうまかったのでしょうね。その後、サム・テイラーは一時期日本に毎年来ては、歌謡曲や演歌を録音してコンサート・ツアーを繰り返したことはご存じのとおりですね。『ムード・ミュージック』を我が国の家庭にあまねく普及させた最大の貢献者といえるかも知れません(笑)。


次は我が国を代表するテナー奏者の素晴らしい名演です。

松本英彦(晩年のテレビ出演時のものですが、野太い音です。風貌もちょっとロリンズに似ておられますね)




フュージョン界のデヴィッド・サンボーンも、この曲を演奏しています。もちろんテナーではなく、アルトです。ランディ・ブルックス楽団の演奏を参考にしたのかもしれませんが、さすが斬新なアレンジです。決して、むせび泣きません(笑)。




こちらは貴重な映像で、ハービー・マンがフルートで演奏する「ハーレム・ノクターン」。ラテン奏者のリズムがこの曲の別な持ち味を出しています。スゴクいいですねぇ。

ハービー・マン(ライヴ動画)ラテン・アレンジです。




YouTubeを探せばいろいろ出てきます。なんとスマートなスタン・ケントン楽団もレパートリーにしていました。フューチャーしているのはピアノで珍しいですね。

スタン・ケントン楽団(SP録音)




ちなみに1951年にディック・ロジャーズが歌詞をつけていますが、あまり歌われていないそうです。

しかしボクの大好きなメル・トーメのアルバム『Sunday In New York』に入っていて、ボクは長い間愛聴してきました。

メル・トーメ





メル・トーメは、スウィンギーなレパートリーも素晴らしいですが、こんなスロー・ナンバーもツボを押さえた歌唱でしびれます。


メル・トーメ愛好家のみならず、ヴォーカル・ファンには超お薦めのアルバムです。