いささか旧聞に属しますが、昨年12月、カボヴェルデの歌謡(モルナ)の女王、セザリア・エヴォラが亡くなりました。70歳でした。

彼女のアルバムがグラミー賞を受賞したことで、ボクはこの南海の諸島カボヴェルデとセザリアの名前を知りました。以来病みつきでした(涙)。

アルバムがこれ。
$♪blowin' in the musicセザリア・エヴォラ/VOZ D'AMOR

カボヴェルデの地図を見ると、こんなところにファドに通じる歌謡曲があるなんて。理由は簡単で、ポルトガルの植民地だったそうです。


海を見ると、人は歌を歌いたくなるのでしょうか。

海に生きていると、人は歌を聴きたくなるのでしょうか。

もしくは、歌が人々の生活の支えなのかもしれない、とすら思います。


$♪blowin' in the music左やや上です。

ところでセザリアのアルバムを聴いていて、懐かしいフォークソングに出会いました。カヴァーしているのですよ、南海の離島の女王が・・。

セザリア・エヴォラが、「JARDIM PROMETIDO」というタイトルで。もちろん「グリーンフィールズ」です。




歌の不思議な巡り合わせというべきでしょう。1960年、世界中の若者をフォークソングのとりこにしたグループ、ブラザーズ・フォアの代表曲です。この曲が世界を駆け巡って、カボヴェルデにも届いたことは自然といえば自然なのですが・・・。

さてオリジナルを聴かなければ、と探し当てたのが、ブラザーズ・フォアがミッチ・ミラーの番組『ミッチと歌おう』の出演シーンです。時に1960年。






だれしも「グリーンフィールズ」はブラフォーが作ったと信じて疑いませんが(もちろんボクも)、調べてみると違うのです。

作ったのは、一時代前のイージー・ライダーズのメンバー、テリー・ギルソン、リチャード・デア、フランク・ミラーの3名で、1956年に合作した、とあります。

“しかし当時は注目されず”との記述も見つけました。それもそのはず。1956年といえば、「ハートブレイク・ホテル」を始めとしたエルヴィス・プレスリー旋風が吹き荒れ、また前年に公開された映画『暴力教室』でビル・ヘイリーおじさんパワー炸裂のロックンロールが真っ盛り。こんな地味なフォーク・ソングが目立つはずはありません。これがオリジナル・ヴァージョンです。




それにしてもブラフォーが「グリーンフィールズ」を録音したのが、1959年7月28日。時に公民権運動が燃え上がっていた時で、たった3年で、時代と音楽の相関性が大きく変わった証でしょうか。

そのあとに登場するのが、ボブ・ディランです。そのボブを今や世界のトップ・アーティストのADELEが好きだそうで。時代は変われど、人の心を打つ音楽は不変なのかもしれません。(え~、さっきのコメントと矛盾してるじゃん、と突っ込まないでね(アハハ))


ところで、時代は変われど、この人たちの演奏スタイルは永遠に不滅です。さすがにこのテンポで♪テケ、テケ、テケはありませんが(笑)。

ヴェンチャーズ





セザリア・エヴォラの死をきっかけに、ブラフォーを聴き直す。いとをかし。