正月にのんびりテレビを観ていて、ドッキリするCMに出くわしました。

ドコモのGalaxyの宣伝のために、渡辺 謙・瀬戸朝香が出演しているこの↓ヴァージョンです。



なんと息子の嫁(瀬戸)と舅(渡辺)が見つめあって一目ぼれする、という、新春から危険な香りいっぱいのテレビCMで、このバックに流れているのがジョージ・ガーシュウィン(作曲)が兄アイラ(作詞)とともに世に送った名曲「やさしい伴侶を」なのです。

$♪blowin' in the music左がジョージ、右がアイラ

CMは歌ヴァージョンではないのでサラッと聞き流してしまいそうですが、ボクが驚いたのにはわけがあります。

その理由は、「このCMを見たら、いのっちが超絶嫉妬するのでは?」(笑)ということでは(もちろん)ありません。

「やさしい伴侶を」という邦題で知られているこの曲の原題は、"Someone To Watch Over Me"です。

「あぁ、この歌詞なら聴いたことあるなぁ」、という方も多いと思います。それほど多くの歌手にカバーされている人気あるナンバーですが、この英語が示すように“私をやさしく見守ってくれる人”というのが本来の意味で、決してこのCMのような“燃えるような一目ぼれ”、“ましてや道ならぬ恋”シチュエーションを想定した歌詞ではないのです。

“森に迷った子羊の私の心のカギを持ってきてくれる人が、早く来てくれることを求めている”乙女の歌とでもいいましょうか。

アイラの歌詞は、1926年のミュージカル『おおケイ!(OH, KAY!)』でガートルード・ローレンス(後にミュージカル『王様と私』を企画制作し、かつ主演した美人ミュージカル・スター)によって歌われて、大ヒットしています。1926年って、昭和でいうと元年。大正最後の年でもあります。

さてこの多くのカバー・ヴァージョンをたくさん紹介したいので2回に分けてみたいと思います。

今回は、「現役の3人の歌い手」の映像でお聴きください。

最初は伸びやかな声が素晴らしいリンダ・ロンシュタットです。

リンダ・ロンシュタット(1984年、ネルソン・リドル指揮)



次は、スティングです。いまごろ武道館でオーケストラをバックにしたコンサートを開いているはずです。

スティング「やさしき伴侶を」



この曲は、スティング同様、ほとんどの歌手がヴァースから歌っています

ヴァースに続くことで、主メロが際立って心に響く代表的な曲だからでしょうか?

さて次は、イギリスのやんちゃ娘、エイミー・ワインハウスで。


エイミー・ワインハウス



この人は素行がよくないためか、あまりいい評価を受けていませんが、ボクは大好きです。

最近買ったクインシー・ジョーンズのアルバムでもエイミーは1曲参加して、見事に御大の期待に答えています。この件は次の機会にご紹介したいと思います。


さてさて、ところで本題の「Someone To Watch Over Me」、渡辺謙と瀬戸朝香のならぬ仲は果たしてどうなったのでしょうか?

少なくともジョージとアイラのガーシュウィン兄弟がこのCMを見たら、ビックリ仰天するだろうなぁ、とボクは思います。なんだか二人に悪いことしたみたいな・・・。

次回は、故人となった名歌手たちの「Someone To Watch Over Me」を選んでみたいと思います。

では。