今年のマイ・ブログ最後の曲は、"I Can't Give You Anything But Love"(邦題:捧ぐるは愛のみ)です。
この曲ができたいきさつには、ニューヨークのティファニーが一役買っています。ティファニーといえばブレイク・エドワーズ監督、オードリー・ヘプバーン主演の映画『ティファニーで朝食を』を思い出すかたが多いと思いますが、この曲の隠れた主人公は、ティファニーで高価なプレゼントを買えない若いカップルでした。
1928年のこと。ミュージカル『1928年のブラックバーズ』を書きあげた作家コンビ(ドロシー・フィールズ作詞、ジミー・マクヒュー作曲)は、まだそのミュージカルのためにいい曲を一つ作ろうと苦労していました。
ある日の夕方、二人がニューヨークの5番街を歩いていた時、貴金属店のティファニーの前で若い恋人同士がショーウィンドウを覗いているのを見かけました。
そして、若い男性が「ねえハニー、ボクは君にあれを買ってあげたいが、でも今はダメだ。ボクは今何も君にあげられない。だけど愛だけはあげられる」といっているのを聞いたそうです。
この言葉にヒントを得て、フィールズが書いた歌詞が「捧ぐるは愛のみ」というわけです。
ちょっとできすぎのような気もしますが、自分の姿に置き換えると身につまされる男性も多いことでしょう。かくゆうボクも同じ気持ちです。
このコンビは、他に「オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ストリート」や「恋の気分で」(I'm In The Mood For Love)などのシンプルでハッピーな名曲を生んでいます。
ちなみにこの曲はアデレイド・ホール、ビル・ロビンソン(タップの名手)など黒人アーティストが出演して、アイダ・ワードとウィリアム・マクリーンが歌いました。
(以上は青木啓・著『アメリカン・ポピュラー』から引用しました)
YouTubeではさすがにオリジナル映像はありませんが、この歌詞のいきさつからやはり男性が歌ったものを最初に選びたいと思います。
ルイ・アームストロングの愛嬌ある歌唱でご覧ください。
Louis Armstrong 1938
次は、女性が歌ったヴァージョンです。
まずはサラ・ヴォーン。1965年の映像ですから状態はよくありませんが、バックはボブ・ジェームスなどの顔ぶれです。サッシーにこんな風に歌われたら、男性としてはシビレますね、きっと。
さてさて、実は「捧ぐるは愛のみ」の数多い女性盤のなかで、ボクの最もリピート率が高く、かつ最も好きなヴァージョンが次にご紹介するアン・バートンです。デビュー・アルバム『ブルー・バートン』はLPが擦り切れるほど聴きました。
オランダのジャズ歌手ですが、このアルバムの評価が高く、日本では異常に人気がありました。以前ご紹介したようにボクも来日初コンサートに出向いて、このアルバムでの伴奏者でツアーにも同行したルイス・ヴァン・ダイクのピアノとともにクールな感動に浸りました。
そのアルバムA面の1曲目が「捧ぐるは愛のみ」です。
このクールで淡々としたヴォーカル・スタイルが心に沁みました。
アン・バートンの『ブルー・バートン』はセカンド・アルバム『Ballad and Burton』とともに、ボクの隠れた愛聴盤です。いまもLPを引っ張り出して聴いています。
ところで先月、いまは亡きアン・バートンが生前残した放送音源がCDにまとめられて発売されました。
その話はまた別の機会に、ということで。
最後は超珍しい顔ぶれで「捧ぐるは愛のみ」。ジョージ・ベンソン(G)、ダイアナ・クラール(P)、エリカ・バドゥー(VO)。実に面白い映像です。
Diana Krall George Benson Erykah Badu
色んな愛の捧げ方がありますね。
ただし、原題は“Can't”ですのでご注意ください。
本来の意味「ボクは、愛以外のものを捧げることができない」なのに、"Can"と勘違いすると、「愛以外なら、なんでもあなたにあげるわよ!」と大逆転しますので、発音にはくれぐれもご注意あれ。
これだと「愛は売り物」というぶっそうな歌とごっちゃになってしまいます。この曲もまたの機会に・・・。
ということで今年も終わり。来年もこんなペースで続けたいと思います。よければお付き合いください。
popfreak
この曲ができたいきさつには、ニューヨークのティファニーが一役買っています。ティファニーといえばブレイク・エドワーズ監督、オードリー・ヘプバーン主演の映画『ティファニーで朝食を』を思い出すかたが多いと思いますが、この曲の隠れた主人公は、ティファニーで高価なプレゼントを買えない若いカップルでした。
1928年のこと。ミュージカル『1928年のブラックバーズ』を書きあげた作家コンビ(ドロシー・フィールズ作詞、ジミー・マクヒュー作曲)は、まだそのミュージカルのためにいい曲を一つ作ろうと苦労していました。
ある日の夕方、二人がニューヨークの5番街を歩いていた時、貴金属店のティファニーの前で若い恋人同士がショーウィンドウを覗いているのを見かけました。
そして、若い男性が「ねえハニー、ボクは君にあれを買ってあげたいが、でも今はダメだ。ボクは今何も君にあげられない。だけど愛だけはあげられる」といっているのを聞いたそうです。
この言葉にヒントを得て、フィールズが書いた歌詞が「捧ぐるは愛のみ」というわけです。
ちょっとできすぎのような気もしますが、自分の姿に置き換えると身につまされる男性も多いことでしょう。かくゆうボクも同じ気持ちです。
このコンビは、他に「オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ストリート」や「恋の気分で」(I'm In The Mood For Love)などのシンプルでハッピーな名曲を生んでいます。
ちなみにこの曲はアデレイド・ホール、ビル・ロビンソン(タップの名手)など黒人アーティストが出演して、アイダ・ワードとウィリアム・マクリーンが歌いました。
(以上は青木啓・著『アメリカン・ポピュラー』から引用しました)
YouTubeではさすがにオリジナル映像はありませんが、この歌詞のいきさつからやはり男性が歌ったものを最初に選びたいと思います。
ルイ・アームストロングの愛嬌ある歌唱でご覧ください。
Louis Armstrong 1938
次は、女性が歌ったヴァージョンです。
まずはサラ・ヴォーン。1965年の映像ですから状態はよくありませんが、バックはボブ・ジェームスなどの顔ぶれです。サッシーにこんな風に歌われたら、男性としてはシビレますね、きっと。
さてさて、実は「捧ぐるは愛のみ」の数多い女性盤のなかで、ボクの最もリピート率が高く、かつ最も好きなヴァージョンが次にご紹介するアン・バートンです。デビュー・アルバム『ブルー・バートン』はLPが擦り切れるほど聴きました。
オランダのジャズ歌手ですが、このアルバムの評価が高く、日本では異常に人気がありました。以前ご紹介したようにボクも来日初コンサートに出向いて、このアルバムでの伴奏者でツアーにも同行したルイス・ヴァン・ダイクのピアノとともにクールな感動に浸りました。
そのアルバムA面の1曲目が「捧ぐるは愛のみ」です。
このクールで淡々としたヴォーカル・スタイルが心に沁みました。
アン・バートンの『ブルー・バートン』はセカンド・アルバム『Ballad and Burton』とともに、ボクの隠れた愛聴盤です。いまもLPを引っ張り出して聴いています。
ところで先月、いまは亡きアン・バートンが生前残した放送音源がCDにまとめられて発売されました。
その話はまた別の機会に、ということで。
最後は超珍しい顔ぶれで「捧ぐるは愛のみ」。ジョージ・ベンソン(G)、ダイアナ・クラール(P)、エリカ・バドゥー(VO)。実に面白い映像です。
Diana Krall George Benson Erykah Badu
色んな愛の捧げ方がありますね。
ただし、原題は“Can't”ですのでご注意ください。
本来の意味「ボクは、愛以外のものを捧げることができない」なのに、"Can"と勘違いすると、「愛以外なら、なんでもあなたにあげるわよ!」と大逆転しますので、発音にはくれぐれもご注意あれ。
これだと「愛は売り物」というぶっそうな歌とごっちゃになってしまいます。この曲もまたの機会に・・・。
ということで今年も終わり。来年もこんなペースで続けたいと思います。よければお付き合いください。
popfreak