$♪blowin' in the music キャピトル時代の代表曲とそのアルバム

前回ブログで取り上げた地味曲「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」。YouTubeにもアップされていないマイ愛聴盤3枚を連ねることで、この曲へのボクの“思いの丈”を伝えてみました。

さて謎は、1953年の発表から6年も経ってからシナトラがなぜこの曲をカバー録音したのか、という点についてです。そのヒントになった(と、ボクが勝手に妄想!している)のは、シナトラのキャピタル時代最大のヒット「オール・ザ・ウェイ」の存在です。

「オール・ザ・ウェイ」は、1957年にシナトラとミッチー・ゲイナー(映画『南太平洋』がステキでしたね)の主演映画『The Joker Is Wild』のために作られました。
その映画の予告編があります。

The Joker Is Wild-trailor~映画の邦題は『抱擁』、日本での公開は翌1958年(昭和33年)です。



この曲は、1957年にミリオン・セラーとなり、アカデミー映画主題歌賞を獲得しています。

ボクがここであえて言いたいのは、“シナトラにはシナトラにしか歌えない曲”があり、「オール・ザ・ウェイ」はまさにその代表的なナンバーだということです。

では、シナトラのレコードにてお聴きください。

冒頭の♪When somebody needs you...から聴く者の心を鷲づかみです。

ALL THE WAY



世の中にはシナトラを単なる“通俗歌手”と相手にしないかたもいるようですが、この♪All The...と歌う流れるメロディ・ラインを聴くたびにボクは心ふるえます。

シナトラにしか歌えない名唱だと思います。

さて、この「オール・ザ・ウェイ」の作家コンビは、作詞がサミー・カーン、作曲はジミー・ヴァン・ヒューゼンです(アレンジは、おなじみネルソン・リドル)。

つまり作曲家は「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」と同じ人なのです。そこで、ボクの勝手な推測とは、「オール・ザ・ウェイ」の大ヒットの後になって、シナトラ自身またはスタッフがすでにシナトラ・クラン(仲間)であったヒューゼンの“既成ナンバー”のなかからシナトラ御大が歌うのに相応しいバラード曲である「ヒアズ・ザット・・」を選んだのではないか、というものです。シナトラは、1960年に自らのレコード会社リプリーズを設立する直前のことです。

閑話休題。

先日、久しぶりに会った友人と表参道のマイお気に入りドンクのコーヒー・ショップ(AOビル1階)で音楽談義をしていたとき、彼から聞いたのは、ラスヴェガスでのセリーヌ・ディオンのショウ(長期開催の常設)で観た「オール・ザ・ウェイ」についてでした。

ナタリー・コールが父と共演した「アンフォゲッタブル」のように、セリーヌがスクリーンに登場したシナトラと「オール・ザ・ウェイ」をデュエットしたというのです。その素晴らしさに思わずウルウルしたと聞いて、ボクもいってみたくなりました。

ありがたいことに、YouTubeにはその映像があります。

Celine Dion and Frank Sinatra DUET in Las Vegas




素晴らしい!これでヴェガスまで行かなくても済みました(笑)。

それにこの「オール・ザ・ウェイ」で検索していたら、なんと忘れていた歌手ハリー・コニックJrが昨年のテレビ出演でこの曲をオケをバックに歌っているのを見つけました。おーい、長い間どうしていたんだ~と思わず声をかけてしまいました。
一時はシナトラ後継者として、ビッグバンドを率いて世界を楽旅していたのに。ボクも大スキで公演を見に行ったことを思い出します。

ハリーはカッコよかったですよね。

Harry Connick Jr. Live Today Show 09/28/2009



この映像で観る限り、スマートな身のこなしはあまり変わっていないようで一安心。またこの曲ほかのスタンダード曲を収録したアルバムも発売したようです。

こりゃ買わねばっ。