日本ではあまり大きく報道されませんでしたが、5月半ばに女優で歌手のレナ・ホーンが亡くなりました。92歳だったそうです。

YouTubeで見つけたニュース(NEWSYDOTCOM)



ここでもコメントされていますが、1940年代にハリウッドのメジャー・スタジオと長期契約した“初の”黒人女性だったそうです。

知的で凛々しい。歌手としてオリジナルヒット曲はあまりなかったようですが、映画出演した時に歌ったこの歌は、彼女の極めつけナンバーです。

Stormy Weather



この「荒れ模様」(なんと素敵な邦題でしょう!)は、1933年にテッド・ケーラーが作詞、ハロルド・アーレン(「虹の彼方に」の作曲家)が作曲した佳曲。

もとはMr.ハイデホーことキャブ・キャロウェイのために書かれたものだそうです。記録によればキャブはこの歌が気に入らず、他のミュージカルでエセル・ウォーターズ(この人も黒人歌手の草分けの一人)が歌い、またアーレン自身もレコーディングしています。

この映画『ストーミー・ウェザー』は、1943年(日本では戦争のため、英米の音楽などが排斥されていた時代です)にレナやファッツ・ウォーラー(「浮気はやめた」Ain't Misbehavin'でお馴染みのジャズ・ミュージシャン)たちが出演して好評を博したそうですが、もちろん日本では未公開です。鬼畜米英ですからね。

この曲も多くのシンガーによって録音されていますが、同じ黒人歌手を代表してエラさんを聴きながら、レイシズムと戦ったレナ・ホーンを偲ぶことに。

Ella Fitzgerald & Joe Pass



なおこの映画『ストーミー・ウェザー』では、黒人の兄弟ダンサーズ、ニコラス・ブラザーズの超有名なタップ・ダンス・シーンを観ることができます。

3分ほどですが、息もつかさぬテンポと迫力。こちらも見逃せませんよ。

Nicholas Brothers in Stormy Weather



ところでこの映像の冒頭に出てくる指揮者が、キャブ・キャロウェイ。なんだかあっけらかんとしてますね。

P.S.念のためLP棚を探したら、『リナ・ライク・ラテン』という1963年ごろに録音されたLPが出てきました。全然覚えていないのですが、とにかく追悼のため、改めて聴いてみます(汗)。