前回「アローン・トゥゲザー」で紹介したマーク・マーフィーの歌いっぷりを聴いてもらおうと探したところ、この曲がでてきました。

もちろん動画ではありませんが、マークの黒っぽい、ややなげやりな、フレーズを引き延ばす独特のクセのある歌い方にご注目あれ。

Mark Murphy/Speak Low (1992)Steel



彼の名盤『RAH』のジャケット写真からボクはずーっと黒人だとばかり思っていました
$♪blowin' in the music マイ愛聴盤です。

3年ほどまえでしょうか、マーク・マーフィーが来日するというニュースをネット検索で知り、胸をときめかせて丸の内のジャズ・クラブ、コットン・クラブに出向きました。

アルバム5枚を予習して出向いた初コットン・クラブでしたが、あまりに華やか、あまりにゴージャズ。

ボクがあこがれ続けた人を聴くにはやや違和感のあるシチュエーション。

客はまばら、前に陣取ったおばさま4人組は歌なんか聴いちゃいないし、となりのオヤジは場違いなおネエチャンと同伴で口説いてばかり。

ボクはそんな周囲に気を取られながらめげずに聴きいりました。すでに70歳を超えての歌唱にしては素晴らしいものでした。まさかマーク・マーフィーをナマで聴ける日がくるとは思っていなかっただけに、感激しました。まだニュー・アルバムも出しているそうで現在も活躍中です。
$♪blowin' in the music マーク・マーフィー近影

ところでボクはそのライブで初めて彼が白人であることを知りました。ビックリです。勝手に“黒いメル・トーメ”などど名付けていましたが、まったくの的ハズレでした(汗)。


ところで肝心の「スピーク・ロウ」。

YouTubeにはビリー・ホリデイの「スピーク・ロウ」もありました。

Billie Holiday Speak Low



この曲の作曲は、クルト・ワイル。あの『三文オペラ』で世界的に知られるドイツ人音楽家です。

次はカール・ジェーダーとカーメン・マクレーで。

Cal Tjader and Carmen McRae - Speak Low



YouTubeにはいろんなものがあります。クルト・ワイル自身が歌ったヴァージョンもアップされています。1分くらいの短いものですが。

Kurt Weil Speak Low 1:07



「スピーク・ロウ」は、1943年のミュージカル『ワン・タッチ・オブ・ヴィーナス』の挿入歌。メアリー・マーティン(あの『サウンド・オブ・ミュージック』ミュージカル版でおなじみ)とケニー・ベイカーがデュエットで歌唱しました。

“恋をささやくのは小声でね”という歌詞のモトネタは、シェークスピアによるものだそうです。

レコードでこの曲をヒットさせたのはガイ・ロンバードです。

本当に洒落たナンバーで、大好きです。