ギタリストのライ・クーダーが、かねてより注目していたキューバ音楽への興味に抗しきれず、現地に渡ってミュージシャンたちとの録音を行いました。そのアルバムが『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』。1997年のことです。
CDもDVDも同じジャケット
19世紀からキューバはリズムの宝庫。バチスタ政権時代から活躍していたミュージシャンたちが、カストロによるキューバ革命後も国家の音楽家として活動を続けてきたのですから、みんな人間国宝級の名人揃い。
かねてよりルーツ・ミュージックの探索をライフ・ワークとしてきたライ・クーダーにとって、予想をはるかに上回るアルバムができたという自信が伝わってきました。ボクは発売されてすぐに購入しました。
“あれほど素晴らしい体験は初めてだった。あれこそ探し求めていた音楽だ。”(ライ・クーダー)
2年後に製作された映画は、そのアルバムを聴いて感銘をうけた映画監督ヴィム・ヴェンダースによるものです。ライにこうコメントしています。
“今度、君が行くときには知らせて欲しい。僕も一緒にいくから”(ヴィム・ヴェンダース)
映画の冒頭のシーンは、オランダにおけるブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのコンサートから始まります。
アルバムの1曲目に入っていた「チャン・チャン」が、映画の1曲目の演奏曲でもあります。
⇒映画の冒頭「チャン・チャン」の演奏シーンへのリンク
(映像コンテンツの埋め込み無効につき、リンクでご覧ください)
なお予告編映像↓がありましたので貼り付けます。(音楽は同じく「CHAN CHAN」です)
⇒予告編へのリンク
映画公開のヒットについで、ほどなくこのメンバーによる日本公演も行われました。
ステージ上のミュージシャンの平均年齢ほどではないものの、観客席の平均年齢も相当なものでした。かくゆう私も友人たち数名と渋谷オーチャード・ホールで公演を観ました。
それはもう素晴らしかったこと。老獪なメンバーの多彩な演奏や歌唱と「ソン」のリズム感、とりわけオマーラ・ポルトゥンドの(すでに70歳を超えていたはず)抜けきった歌唱と声量に背筋に電撃が走ったのをいまだに覚えています。
この「チャン・チャン」をつくったコンパイ・セグンドことフランシスコ・レピラド(上記映像では中心でギターを弾いている)は当時94歳(と、映画ではインタビューに答えていました)。
主な顔ぶれの写真です。
コンパイ・セグンド
イブライム・フェレールとオマーラ・ポルトゥンド(右)
この後、コンパイ・セグンドもイブライム・フェレールも亡くなりました。しかし、うれしいことにオマーラさんは昨年の来日したりCDを出したりといまも現役バリバリです。
CDを聴き、映画を観てライブにも行った私の感想は、“皮肉なことに、社会主義体制が地場の音楽を温存したこと”です。もしこれが自由主義社会のもとだったら、かれら“老兵たち”はとうに消え去っていたに違いないからです。
この企画を進めたライ・クーダーもミュージシャン冥利に尽きる、いい仕事をしましたね。
ライ・クーダー
【追伸】そういえば、1月から2月にかけてキューバ革命をカストロとともに戦ったチェ・ゲバラの2本の映画が連続して公開されました。2本とも観にいきましたが、私の感想はあまり芳しくないので、ご紹介するには忍びなく。どなたかご覧になったかたのご意見を賜りたいと思っています。
CDもDVDも同じジャケット19世紀からキューバはリズムの宝庫。バチスタ政権時代から活躍していたミュージシャンたちが、カストロによるキューバ革命後も国家の音楽家として活動を続けてきたのですから、みんな人間国宝級の名人揃い。
かねてよりルーツ・ミュージックの探索をライフ・ワークとしてきたライ・クーダーにとって、予想をはるかに上回るアルバムができたという自信が伝わってきました。ボクは発売されてすぐに購入しました。
“あれほど素晴らしい体験は初めてだった。あれこそ探し求めていた音楽だ。”(ライ・クーダー)
2年後に製作された映画は、そのアルバムを聴いて感銘をうけた映画監督ヴィム・ヴェンダースによるものです。ライにこうコメントしています。
“今度、君が行くときには知らせて欲しい。僕も一緒にいくから”(ヴィム・ヴェンダース)
映画の冒頭のシーンは、オランダにおけるブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのコンサートから始まります。
アルバムの1曲目に入っていた「チャン・チャン」が、映画の1曲目の演奏曲でもあります。
⇒映画の冒頭「チャン・チャン」の演奏シーンへのリンク
(映像コンテンツの埋め込み無効につき、リンクでご覧ください)
なお予告編映像↓がありましたので貼り付けます。(音楽は同じく「CHAN CHAN」です)
⇒予告編へのリンク
映画公開のヒットについで、ほどなくこのメンバーによる日本公演も行われました。
ステージ上のミュージシャンの平均年齢ほどではないものの、観客席の平均年齢も相当なものでした。かくゆう私も友人たち数名と渋谷オーチャード・ホールで公演を観ました。
それはもう素晴らしかったこと。老獪なメンバーの多彩な演奏や歌唱と「ソン」のリズム感、とりわけオマーラ・ポルトゥンドの(すでに70歳を超えていたはず)抜けきった歌唱と声量に背筋に電撃が走ったのをいまだに覚えています。
この「チャン・チャン」をつくったコンパイ・セグンドことフランシスコ・レピラド(上記映像では中心でギターを弾いている)は当時94歳(と、映画ではインタビューに答えていました)。
主な顔ぶれの写真です。
コンパイ・セグンド
イブライム・フェレールとオマーラ・ポルトゥンド(右)この後、コンパイ・セグンドもイブライム・フェレールも亡くなりました。しかし、うれしいことにオマーラさんは昨年の来日したりCDを出したりといまも現役バリバリです。
CDを聴き、映画を観てライブにも行った私の感想は、“皮肉なことに、社会主義体制が地場の音楽を温存したこと”です。もしこれが自由主義社会のもとだったら、かれら“老兵たち”はとうに消え去っていたに違いないからです。
この企画を進めたライ・クーダーもミュージシャン冥利に尽きる、いい仕事をしましたね。
ライ・クーダー【追伸】そういえば、1月から2月にかけてキューバ革命をカストロとともに戦ったチェ・ゲバラの2本の映画が連続して公開されました。2本とも観にいきましたが、私の感想はあまり芳しくないので、ご紹介するには忍びなく。どなたかご覧になったかたのご意見を賜りたいと思っています。