レス・ポールといえば、ギター少年ならずともこの姿に見覚えはあるでしょう。


♪blowin’ in the music ギブソンのレス・ポール・モデル
映画でも紹介されていますが、フェンダーがエレキ・ギターで優勢にたったときにギブソン社がレス・ポールに開発を依頼して出来上がったのが、レス・ポール・モデルです。
それがソリッド・ギターによる革命だったというわけです。

レス・ポール・モデルを使ったギター・プレイヤーといえば;
・ジミー・ペイジ
・キース・リチャーズ
・ジェフ・ベック
・スラッシュ
・ヴァン・ヘイレンなどなど。

このドキュメンタリー映画は、レス・ポールのNYでのライブにキースが乱入して、レス・ポールじいさんから“小僧っ子”呼ばわりされる場面から始まります。

60過ぎとはいえ、93歳からみれば小僧というわけです。天下のキースでさえも。

予告編はそんなワクワクする場面のサワリ集です。↓


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そのレス・ポールが夫婦コンビで活躍した50年代、前回ブログでご紹介したように多重録音で先を越された「テネシー・ワルツ」ではパティ・ペイジの影に隠れ、「モッキン・バード・ヒル」では雪辱したものの、チャートは2位どまり。ナンバー・ワンにはなれなかったよ、というわけでした。

ところで次に出した「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」で、レス・ポール&メリー・フォードはナンバー1(それも9週!)になりました。そうです。あの曲を24チャンネル使った(と本人が答えています)多重録音でようやく制覇します。

How High The Moon / Les Paul & Mary Ford


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この曲は、1940年のレビューに使われたのですが、レス・ポール以外にも、多くのジャズ・プレイヤーが好んで演奏したり、歌ったりしたことでスタンダード・ナンバーとなりました。

バド・パウエル、ソニー・ロリンズのほか、かのジャンゴ・ラインハルトも録音しています。

が、この曲を世界に知らしめたのはなんといってもエラ・フィッツジェラルドの『エラ・イン・ベルリン』における超絶歌唱でしょう。

♪blowin’ in the music エラ・イン・ベルリン
残念ながらこのヴァージョンはYouTubeにはありません。ぜひCDで聴いてみてほしいものです。

【この曲の他の名演】

80年代に日本テレビ系列で土曜夜にタモリが進行役を努める音楽バラエティで『今夜は最高』というスバラシイ番組がありました。

いつだったかは分かりませんが、『エラ・イン・ベルリン』での「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」の進行と展開そのまんまで「八百屋お七と銭形平次」をモチーフにした時代劇仕立ての日本語ヴァージョン(歌詞は創作)を歌い、演じた忘れがたい名演奏が放送されたことがありました。

(出演、もちろん歌も)
・銭形平次:石橋凌(元ARBの)
・お七:泰葉(そうです、あの「フライデイ・チャイナタウン」の)
・岡っ引き:タモリ などなど。

日本の音楽バラエティ史上に残るパロディ・パフォーマンスでした。残念ながらYouTubeにある多くの「今夜は最高」にこの名演はありませんでした。

脱線しましたが、このようにレス・ポールの功績は大きく、またそのドキュメンタリー映画で見る93歳の軽口と客あしらいと生き方に、深い感銘を覚えたものでした。

そういえば、このレス・ポールの姿は映画『ブエナ・ビスタ・ソーシャル・クラブ』で観たコンパイ・セクンド(たしか93歳でしたね)の軽妙さに通じるものがありますね。あ、この企画はライ・クーダーです。

次はこれをいってみようかな。