男声ジャズ・コーラス・グループでオススメの1枚といわれたら、ボクは躊躇なく「フォア・フレッシュメン/ウィズ・ファイヴ・トロンボーン」を選びます。
♪blowin’ in the music Four Freshmen with Five Trombones

そのA面の1曲目を飾るのが「エンジェル・アイズ」。1953年にマット・デニスの作曲、アール・K・ブレントの作詞で作られました。
YouTubeにフォア・フレッシュメンのライブ映像がアップされています。

Angel Eyes/Four Freshmen

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このライブ映像でお分かりのようにフォア・フレッシュメンは、自分達で楽器も演奏できるのが強みです(ただし「ファイブ・トロンボーン」は全員ウエスト・コーストの腕利きミュージシャンを揃えての録音ですが)。他に「サムバディ・ラヴズ・ミー」や「ラヴ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ」も超ナイスです。

「ファイヴ・トロンボーン」のアレンジは、ピート・ルゴロ。50年代、キャピトル・レコードで活躍したアレンジャーで、「サムシング・クール」をはじめとするジューン・クリスティのアルバムなどでお馴染みです。
洒落ていて、とてもスマート。ボクはこのアルバムを擦り切れるほど愛聴しました。

さて、この歌詞の内容は;
眩しいほどの天使の瞳をもった彼女をみんなに紹介するつもりでパーティを開いたが、肝心の彼女がいつまで経っても現れない。いたたまれずに、『さあ、皆さん好きなだけ飲んで食べてね。ぼくはちょっと失敬するよ・・(Excuse me, while I desapper)』といって消えてしまう」男ににとってなんとも切ない歌です。

ちょっと逆のシチュエーションを思い出しました。昨年大ヒットした映画「SX AND THE CITY」をご覧になったかたはご記憶でしょう。

主人公の女性が、フィアンセを紹介するパーティを開き、参加者が今か今かと待っているのに相手の男は結局現れないことで大騒ぎになります。

「エンジェル・アイズ」の主人公はパーティを主催した男です。本命『エンジェル・アイズ』が現れないために、いたたまれず消え去った主人公のその後の行方は(歌詞がそこまでなので)分かりませんが、「・・アンド・ザ・シティ」主人公の女性には、頼もしいアラフォーの親友たち3名ががっちりエスコートしてあげるという顛末。女性同士の友情物語です。

この2つの物語には半世紀の“時代の違い”を強~く感じさせてくれます。前者の主人公にはちょっぴし男の哀愁が感じられますが、後者の男性には少しイラっときました。「できそこないの男たち」(福岡伸一)を証明するとは言いすぎでしょうが、讃えるべきは21世紀女性たちのたくましさでしょう。

ところで、ボクが愛聴しているもう一つの歌唱は、この曲を作ったマット・デニス自身のライブ・アルバムに収録されているヴァージョンです。
↓ジャケットはこれです。静止画ですが、じっくり聴いてください。味のある歌唱です。



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【その他の名演】
フランク・シナトラがバラード・アルバム「オンリー・ザ・ロンリー」に名唱を収めています。



♪blowin’ in the music シナトラのバラード名盤

YouTubeにもシナトラの「エンジェル・アイズ」のライブがアップされていましたが、高齢につき貼り付けるにはしのびなく・・・。
インストものとしては、ジム・ホールのライブも良いようです。

ちなみに同じマット・デニスが書いた名曲に「コートにスミレを」(Violet for Your Furs)がありますが、そちらはまたの機会にでも・・・。


*本文中に「昨年の大ヒット映画」のタイトルSATCを引用したために、携帯からアクセスすると「未成年に不適切な表現があります」というワーニングがでるそうです(笑)。よって映画のタイトルをあえて誤記風にしました。ご了解ください。