ビルボードNo.1ヒット誌より

ボビー・ダーリン最大のヒットは「マック・ザ・ナイフ(Mack The Knife)」です。『ビルボードNo.1 HITS』によれば、1959年10月5日からなんと9週間1位だったそうですから、ハンパなヒットではありません。

いままでいろんなアーティストが歌い、演奏してきたこの曲は、アメリカ生まれではなく、そもそもドイツ生まれの曲なのです。

1928年にドイツで初演されたミュージカル『三文オペラ』のナンバーとして、反資本主義を標榜したベルトルト・ブレヒトが作詞し、クルト・ワイルが作曲しました。原題は「メッキー・メッサーのモリタート」。アメリカで公演されたのはずいぶん後の1954年で、その時に英語詞がつけられています。

その後この曲を英語詞で歌って世に広めたのが、ジャズ界の巨匠ルイ・アームストロングです。ジャズの改革者として偉大な貢献をしてきたトランペッターです。彼は映画「五つの銅貨」に出演したり、ミュージカルに出演して「ハロー!ドリー」をヒットさせたことでお馴染みです。

サッチモ(ヒキガエル)という愛称で知られるルイが演奏して歌っている映像がありました。
ルイ・アームストロング「マック・ザ・ナイフ」


その後、テナー・サックスのソニー・ロリンズがアルバム「サキソフォン・コロッサス」で演奏したタイトルは「モリタート(罪状記の意)」を採用していますね。1956年録音で大ヒット、世界中で巻き起こった“モダン・ジャズ・ブーム”の引き金となりました。
 ソニー・ロリンズ「サキソフォン・コロッサス」

それではお待たせしました。私のアイドルの登場です。
ボビー・ダーリン「マック・ザ・ナイフ」!



ところでボビー・ダーリンは、子供のときの病のために、30歳以上は生きられないだろうと宣言されていました。果たして37歳で亡くなっています。1972年、ちょうどロックの時代の真っ盛りでした。

 サンドラ・ディーとのラブラブ時代
(サンドラ・ディーも2005年に亡くなっています。)

ちなみに、YouTubeにはドイツ語のオリジナル盤が(歌だけですが)アップされていました。



それにしても、80年も前にドイツで生まれた曲「マック・ザ・ナイフ」や60年前のシャンソン「ラ・メール」 ⇒過去ブログが歌詞やスタイルを変えて歌い継がれるってステキなことだと思いませんか?もしかして音楽こそが、時代や国家の壁を自由に超えて人々を交流させる“共通言語”じゃないか、そんな気がしてきました。

さてひょんなことから初めたブログ“♪blowin' in the music”も30回を超えました。最近になって少しづつ観に来ていただく人数が増えています。とてもうれしいことです。この「チェイン」ネタが長く続けられるようにガンバリますので、よろしくお願いします。

*次回予告です。アメリカではケヴィン・スペイシーが、またイギリスではロビー・ウィリアムズが、このボビー・ダーリンに心動かされたのと同様に、カナダの一人の若者がボビー・ダーリンに憧れました。マイケル・ブーブレです。その素晴らしいシンガーについて紹介します。