マルコムは、いわずと知れたセックス・ピストルズの生みの親であり、仕掛け人です。

(これが有名な「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」のジャケットです)

パートナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドがデザインするファッションを売りにしたブティック「SEX」を経営、店にきた若者を集めてセックス・ピストルズを結成します。

(これがショップのSEX)

以前ニューヨークでニューヨーク・ドールズなどのマネージャーをしていた体験を生かし、ロンドンに戻ってからパンクで一旗上げようともくろんでいたとのことです。

結成してからは、このバンドを売り出すために一騒ぎします。



ジョン・ライドンをジョニー・ロットン(腐ったジョニー)と命名したり、二代目ベーシストをヴィシャス(意地悪)と名づけたりと、話題作りの才能を発揮します。

(最初で最後のアルバム)

レコード会社を契約で手玉にとる手法が功を奏し、悪辣and/or敏腕マネージャーの名をほしいままにします。

ちょうどイギリスでは、サッチャー首相の下、経済不況が若い世代を直撃していました。その鬱積した不満に引火したのか、セックス・ピストルズが巻き起こしたパンク・ロックは世界に飛び火、日本でも多くのフォロアーを生みました。

英国国歌と同じタイトルの「GOD SAVE THE QUEEN」(冒頭のジャケット)という曲をリリース、世界中で放送禁止や発売中止が相次ぎます。でも、デビュー曲「ANARCHY IN THE UK」は名曲です。それにこのミュージック・ビデオは名パフォーマンスだと思います。



パンクが生まれて30年、日本では今年の夏に何十年かぶりに再結成したセックス・ピストルズのライブを観ることができるそうです。この4人がどんなパフォーマンスをみせてくれるのでしょうか。もちろん、シド・ヴィシャスは来ませんが。



この一連をプロデュースしたマルコム・マクラーレン、映画まで作りました。「ROCK'N'ROLL SWINDLE」

(サントラ2枚組アルバム)

「ロックン・ロールのペテン師」と名づけています。徹底したスノップぶりは、あたかもゲンスブール(前回ブログ参照)を範にしたかのようです。

(マルコム写真)

かれらの解散は、マルコムの徹底したやらせに対するジョニー(VO)の反発や、メンバー間の不仲が理由だといわれています。というより「バンドやろうぜ!」という自発的な動機で結成されてはいないバンドが短命なのは、当初から予想通りでした。

実質的な活動は1年半に満たなかったセックス・ピストルズ。でもそのインパクトは「やらせ」を超えて、若い世代のハートをワシ掴みにしました。それだけでも充分ですね。

マルコムの関心は、しばらくしてジョニーから問題児シド・ヴィシャスに移ったといわれています。

*次回は、そのシド・ヴィシャスが歌った「マイ・ウェイ」をめぐってのネタに続きます。