映画「グレン・ミラー物語」のサントラです。
(帯付きのLPです)



ジェイムス・スチュワートが結構似てますね。

このサントラは、ジョセフ・ガーシェイソン指揮となっていますが、
アレンジは駆け出しのころのヘンリー・マンシーニが担当しています。

そもそもヘンリー・マンシーニはグレン・ミラーの大ファンで、
かれを頼って空軍バンドに入るために出向いたものの、
御大との面接でアガってしまって、ろくに口がきけなかったくらいだった
と記録にあります。

後に映画「グレン・ミラー物語」の編曲を任されて、マンシーニは
きっと喜んだことでしょう。

映画の中で「ムーンライト・セレナーデ」をグレンが着想し、別のバンドが
女声シンガーを起用してヴォーカル・バージョンを演奏するシーンがあります。

劇中では、客として演奏を聴いたグレンがそのアレンジの酷さに怒り、
ついに自己のバンド結成を決意する大切なシーンです。

そしてトロンボーンなどブラスの厚い独特のニュー・サウンド
(キラー・ディラー・スタイル)を編み出して、「ムーンライト・セレナーデ」の
ヒットとともに楽団が大成功をおさめます。

もちろん新ミラー楽団での「ムーンライト・セレナーデ」のアレンジは
当のご本人の生前のスコアによりますが、劇中怒っちゃうくらい
ダサいヴァージョンは、ヘンリー・マンシーニがお仕事としてアレンジした
に違いありません。

マンシーニが十代のころ、口がきけないほどあこがれたグレン・ミラーの
代表曲を本人に嫌がられるように編曲するのも複雑な思いがあったに
違いありません。

ちなみにグレン・ミラー楽団は、グレンが亡くなった戦後も活動していま
したが、ジャズの正史にはあまり登場しません。

せいぜいウディ・ハーマンやスタン・ケントンに影響を与えたくらいの評価ですが、
逆に熱烈なファンもいます。

Geoffrey Butcherという英国人が書いた「空軍バンド時代だけに限定」した
こんなマニアな本まで出ています(写真)。買うほうもどうかと思いますが(^^;) 。



*次回はヘンリー・マンシーニとオードリー・ヘプバーンについて書いてみます。