パラレルの政治力学 1
『・・・総選挙は間近で、各党とも慌ただしくなってきました。では次、あの人が結婚しました』
もうそんな時期か・・・おお、そろそろ大学に行かないと。
いつものように部屋を出て、アパートの階段を下りてバス停で待つ。しかし待てども待てでも大学行きのいつもの青いバスが来ない。
40分たってようやくバスが来たのだが、黒い。しかし行き先を見ると「西森大」と書いてある。行き先が一緒なら色など関係ないだろう。
余裕をもって家を出たつもりだが、いい加減遅刻すれすれなのでこれに乗るしかない。家に帰ったら40回抗議の電話をしてやろう。
この時間帯はラッシュなので毎回寿司詰め状態のはずなのだが、よく見ると自分以外に誰もいない。
どう考えても怪しいのだが、確かに「西森大学行き」と書いてあったし、なにより今まで辛い通学を強いられてきた身からすれば、その光景は魅力的すぎた。
僕はそのバスに乗ってしまった。
座り心地は文句なし。このまま寝てしまいそうだな・・・。まあ終点に着いたらおこしても・・・ら・・・。
正直言ってどう考えても怪しい状況なのだが、あまりにも座り心地が良すぎて寝てしまった。もう1時間くらい寝ただろうか。1時間?どんなに遅くても30分あれば大学には着くぞ?あれ?
「ヤバいぃぃぃ!」
跳ね起きた拍子に窓に思い切り頭をぶつけてしまった。痛いし恥ずかしいです。誰も乗ってなくて良かった・・・。
しかしやっぱり違う路線だったのか?頭をさすりながら窓をのぞいてみるが、見慣れた風景だ。だが、時計を見るとやはり1時間経っている。違うバス会社だったのかな?
『次は、西森大学前、西森大学前です』
あー、分かった。違うバス会社だったんだ。まあこれ乗らなくてもどのみち遅刻だったしもういいか。
バスが止まり、ドアが開く。乗客は僕だけだったのでさっさとバスを降りて教室へ向かう・・・。やはり風景は何もかも昨日までと一緒だ。ただバス会社が違っただけなんだよな、うん。
「よーーーこそ第37世界へ!」
中年男性のハリのある声が聞こえた。そして、ぞろぞろと人が集まってきた。
「君があの第24世界からやってきた人か。話は聞いてるよ。私は小山内博隆というものだ。この世界の日本最大の政治団体、裏表党の党首をしている。」