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目を覚ますと、カーテンの向こう側が明るい。
もう朝か。
いつの間に寝たんだろ。
覚えているのは、何度も何度も互いに求めて、求められて…
……ひどいことしたな、俺…。
思い出せば思い出す程、罪悪感に襲われる。
隣で眠るニノの頭を、そっと撫でた。
「…ごめん」
呟くと
「謝るくらいなら、しないでくださいよ」
目を閉じたまま、ニノが口を開いた。
「起きてたの?」
「今起きました」
「そう…」
流れる沈黙。
なにを話していいか、分からない。
迷っていると、先にその空気を破ったのはニノだった。
「何であんなことしたんです?大野さんらしくない」
「それは…その…」
「だいたい検討ついてますけど」
気怠そうに体勢を変え、俺をしっかり見据えた。
「昨日、誰といたのって聞きましたよね」
「…うん」
「どこまで知ってんの。なにを見たの」
言ってしまえば、この関係が壊れてしまいそうで
怖くなった。
もしこれで、さよなら、なんて言われたら…
「大丈夫だから、話して」
握りしめていた俺の手に、ニノの手がそっと重なった。
ニノには全部、お見通しってことか…。
なら、俺も覚悟を決めないと…
こんなこと、したんだから…。
「…最近ウチに来るの断るようになったり、前にニノが電話出た時女の声聞こえた。
その電話を隠すように楽屋出てったし。
ほんで昨日は女の人と歩いてた」
「それで、俺が浮気してるかもって?」
「……」
「はぁ……ほんと、バカなんだから」
クククって喉を鳴らして笑うニノ。
…バカ?おれが?
困惑してると、ニノは自分の携帯をいじり、少しして俺に画面を見せた。
「昨日見たの、この人でしょ」
「……うん」
「これ、俺の姉ちゃんね」
思考が一瞬にして止まった。
…姉ちゃん……?
「あなた会ったことありますよね」
「え…いや、だって…髪型とか…」
「あのね、何年も経ってんだから髪型くらい変わるでしょうよ」
「ま、まじか……え、じゃ、あの電話も…」
「姉ちゃんから」
「ウチに来なくなったのは…」
「姉ちゃんとの用事があったから。用事って言ってもあなたに関係あることですけど」
「カフェ行ったのは…」
「カフェ?あぁ、あれは姉ちゃんが、あんたのわがままに付き合ったんだからなんか奢れ、ってうるさいから、それで」
まじ、か…
全部俺の勘違い…?
勘違いで俺はニノに、あんなこと…
「ほんとは、まだ渡す予定じゃなかったんですけど」
身体を起こしたニノは、「あ〜あ、こんなとこに落ちちゃって…」と文句を言いながらベッドから身を乗り出し、手を伸ばして何かを拾った。
「はい、これ」
目の前に差し出された紙袋。
受け取り、ニノを見つめると
「開けてみて」
と、目線をそれに向けた。
そっと開けると、中から出てきたのは小さな箱。
ゆっくり蓋を開けると、そこには二つ並んだ指輪が入っていた。
「これ…」
「ペアリング。男同士のって無いんですよ。
だからいろいろ探すのを姉ちゃんに手伝ってもらったんだけど結局見つからなくて。
手作りできるって聞いたから作りに行って、でも男物を二つ俺一人で取りに行くのは変だから、姉弟でそれぞれ受け取りに行ったフリをしてもらったんです」
話しながら、ニノは指輪を取り出し、
俺に手を差し出した。
「左手」
頭がついていかないまま、言われた通り自分の左手をニノの手に添える。
するとニノが持っていた指輪が、薬指にはめられた。
サイズはぴったり。
「大野さん」
視線を上げると、俺を見つめるニノの視線がぶつかる。
「俺は大野さんのものです。だから、大野さんを俺のものにしていいですか?」
こんなこと、あっていいのかな
「お、俺は…」
こんなにも俺のことを想ってくれていた彼を
疑って、嫉妬して、メチャクチャにして…
「ふふふ、どうせあなたのことだから、昨日あんなことしたのに、とかまたバカなこと考えてんでしょ」
それすらも、お見通しなのか…
もうニノには、敵わない…
「俺の隣に、これからも居てくれますか?」
「っ…いる……居たい…っ…」
ついに涙がこぼれた。
罪悪感で苦しくて、それよりも嬉しくて、愛しくて、苦しい。
泣きじゃくってる俺の手を取り、もう一つの指輪を握らせ、
今度はニノが、左手を出す。
「つけてくださいよ、大野さん」
必死に頷いて、少し震えてる手をどうにか抑えて、白く柔らかい薬指に指輪をはめた。
「もう、泣きすぎだから」
笑ったニノは、指で涙を拭い、
そのまま俺を引き寄せて唇を重ねた。
少しして、ゆっくりと離れるニノ。
「……ところで」
ついさっきまでの優しい声とは違う、少し低い声が俺に降りかかる。
「俺は冤罪だったわけですが、どうします?」
「………え?」
「あんなおかしな薬飲ませといて…。そもそも、あれ誰から貰ったんですか?あなたにそんなツテがあるとは思えない」
「そ…それは…」
「誰」
「松潤」
あまりの声の低さに、とっさに出てしまった。
…ごめん、松潤…
「あぁ、潤くんか。確かにあの人ならどっかしらから持ってこれそうですね」
「……」
「まぁいいや、彼には何かしらでお礼するとして…」
ぐるんと視界が回って、気がついたらニノが俺を上から見下ろしていた。
「に、にの…?」
