虹…後編 | 向日葵〜太陽は5色の光〜 嵐#大宮小説

向日葵〜太陽は5色の光〜 嵐#大宮小説

主に嵐さんの大宮さんの小説が置いてあります(^^)
時々、翔潤や櫻葉も…ある…かも?

ですが、ほぼ大宮さんです(o^^o)






















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傘がぶつかり真っ直ぐ歩けない。
そんな私を見て笑っているの。



「もっとそっち歩いてよ」

「こっちスペースないもん」

「あるじゃんよ、そっちに」


頑なにそこから動かない大野さん。
傘が邪魔してふらつく俺を見て、ずっとニヤニヤしてる。


私もやってみせてあげるの。


「あっ、ぶね…、なにすんだよ」

「あぁ、すみません、こっちにもスペースなかったんで」


同じように、口を尖らす。


「あるじゃん、そっち」

「ないですよ」



雨は嫌い。

景色が暗くなるし、傘を持つから手が塞がるし、濡れるし。


だけど突然、あなたが散歩しようなんて言い出すから、渋々ついてきてみると、
意外と、これはこれでいいかもしれない。


きっと、隣を大野さんが歩いてるからだろうね。


優しく笑うキミが
この時間が、空間が
泣きたくなるくらい
一番大事なものだよ。


「…ねぇ」

「ん?」

「怒った?」

「え?」

「急に黙ったから」


横からでもわかる、眉を垂らした大野さんの不安そうな顔。

ちょっとだけ、意地悪したくなった。


「かなり怒った」

「えっ」

「しばらく口聞きたくないかも」

「そ、そんな…?」


しおらしくなる大野さんに、思わず笑いそうになる。
それをグッと堪えて、平然とした顔で前を見て歩いていた。


「どうしたら許してくれる?」


こんな控えめな大野さん、珍しい。
いつもなら反抗してくるのに。


「さぁ」


だからつい、意地悪が止められなくなる。

どうするのかと、横目で様子を伺ってると
辺りをキョロキョロ見回していた。

と、急に俺の左肩を掴んで自分の方に向かせると
「ごめんね」って、俺の返事も待たずに
優しくキスをした。


突然の出来事に驚いてると、
「…なんだよ」
恥ずかしくなったのか、すぐ前を向いて歩き出して行った。


典型的なツンデレ、ですね。


「待ってくださいよ」


先を行く大野さんに駆け寄って、また彼の右隣を歩き始めた。


「んふふ」

「…なに」

「結構大胆なことするんですね、誰が見てるかもわかんないのに」

「ちゃんと誰もいないの確認したし」

「そもそも怒ってませんけどね」

「…は?」

「あんなことで怒るわけないでしょ」

「なっ、お、俺がどんだけ緊張したかっ…」

「緊張したの?」

「…うるせー、ばぁか」

「あー怖い怖い」


早くもなく、遅くもなく
ふたり肩を並べて同じ歩幅で進んでく。


これからもこうやって、進んで行けたら…



「あのさ、俺と結婚しない?」


本当にこの人は、思いつきで言ってるのか、ちゃんと考えてるのか分からないことを
さらっと言ってくる。


「なに言ってんの、できるわけないでしょ」

「できるできないじゃなくて、するかしないか聞いてんの」


そして、真っ直ぐな意見を言い出す。


「二宮智になるの?」

「逆、大野和也」

「なんでよ」

「ニノが下なんだから、そりゃそうだろ」

「よくそんなこと平気で言いますよね」

「事実だし」

「逆になることだってあるでしょうよ」

「それはたまにじゃん」



必死な照れ隠しだった。
言い返すことで、跳ね上がる心臓の鼓動を抑えていた。


けど、たまには素直になってもいいかな。


これからはちょっとくらいの我が儘。
言ってもいいよ。でも私にだけよ。


「なってあげますよ、大野和也」

「まじで?」

「うん」


どんな形でも、
こうやってあなたの隣を歩けるなら。


まじかぁ、って、嬉しそうに笑う大野さん。
その横顔を見て、俺の顔にも笑みが溢れた。










結婚を示す契約書も何もない。

どこにも認められることは無いけど、
自分たちがそう思っていれば、それでいい。

するかしないかってのは、きっとそういうことなんだと思う。


「で、誓いの言葉は?」

「え?」

「好きとか、愛してるとか」

「んなの言わなくていいだろ、いちいち…」

「ほんと言ってくれないですよね」

「恥ずかしいんだよ、なんか」

「なんで言えないかな、好きだよって、たった一言よ?」

「恥ずかしいの」

「道端でキスするくせに?」

「うるさい」


逃げるように歩くペースを早めてく大野さんを、慌てて追いかけた。


こういうとこだけは、素直じゃないんだから。



今日は私とキミが名字を重ねた日
愛が芽吹いた日。


聞きたかったなぁ…。


その時、辺りが少し明るくなった気がした。
見ると雲の隙間から太陽が顔を覗かせてる。

まだ少し雨は降ってるけど、もうすぐ止むかもしれない。


後ろを振り向くと、五色の橋が空に輝いていた。


「大野さん、あれ見て」

「おぉ…すげぇ…」





綺麗に浮かぶ五色の虹。
実際は七色なんだろうけど、俺には五色に見えていた。

欠けることがない五色の虹。


「虹ってさ、嵐の色してるよね」

どうやら彼にも、同じように見えてるらしい。

「当たり前でしょ」

これからもずっと、この色ですよ。


「さ、帰ろう」

「そうですね」


いつも間にか雨も上がり、傘を閉じて歩みを進める。
傘がない分、ふたりの間隔を縮めて。



「綺麗でしたね、虹」

「いや、ニノのほうが…」

「はい?」

「…なんでもない、なんも言ってない」


照れ始めるキミに
ありがとう…、ありがとう。
























ENDーーーーー・・・・・