ルーム(2015年 アイルランド / カナダ  )

アイルランド出身の作家エマ・ドナヒューのベストセラー小説「部屋」を映画化。


監督は、レニー・アブラハムソン。
出演は、ブリー・ラーソン、ジェイコブ・トレンブレイ、ジョーン・アレン、ショーン・ブリジャース、ウィリアム・H・メイシー、トム・マッカムス、アマンダ・ブルジェル、ジョー・ピングーなど。


ストーリー:
5歳の誕生日を迎えたジャックは、狭い部屋に母親と2人で暮らしていた。外の景色は天窓から見える空だけ。母親からは部屋の外には何もないと教えられ、部屋の中が世界の全てだと信じていた。2人はある男によってこの部屋に監禁されていたのだった。しかし母親は真実を明かす決断をし、部屋の外には本物の広い世界があるのだとジャックに教える。そしてここから脱出するために、ついに行動を開始するのだったが・・・。
(作品情報より)



予備知識無しで鑑賞したのでしたが、凄い作品でした。手に取った時、タイトルが"ルーム"だったのが、どんな作品なのか気になりましたが、内容は想像ができませんでした。観ると序盤ではまだどんな映画なのかわからないまま、部屋の中で暮らしていると思われる母親と子供の生活ぶりが映し出されて行きます。そしてたまにやって来る男性とのやりとり。何か違うなと感じながらもどういう関係なのかまだ分かりません。さらに進むとようやく事態を呑み込むことが出来るようになってきます。それを知った時はちょっと衝撃的でしたね。そして中盤から終盤にかけては、そこからの脱出劇、人生の再生に向けて社会への適応をしてく中での葛藤と苦悩が描かれて行きます。この中で特に驚かされ印象に残るのが、母親と5歳になる子供のこの部屋についての思いというか感情というものの違いですね。母親にとっては二度と見たくない戻りたくない場所という思いが強いのに対して、子供の方はそこで生まれ外の世界を知らない、部屋の世界がすべてだったものにとっては部屋に対する愛着とか思い入れがあったと言うのが、非常に対照的でこの起こった出来事の深刻さを物語っているようなあの最後のシーンを観ていると感じるところでした。