今日は雨が降ってる。朝からずっと降っていて、夜になった今もバケツをひっくり返したような雨が続いている。蛙が雨に負けないように鳴いてて、なんで田んぼの側のアパートを借りたのか今更後悔した。
「ねぇ、今日暇?」
なんてメールが彼から届いたときは、お風呂から上がってきた所だった。傘なんて無駄な抵抗だと言わんばかりの雨のせいで、仕事場からずぶ濡れになって帰って来て、すぐにお風呂に入ったからだった。
「お風呂入っちゃったから来るなら来てもいいよ」
彼からの返信が"NO"だと確信しているから、私はすぐにビールを取って、冷凍の枝豆を温めた。
彼は私の部屋には来たがらない。奥さんがいるという罪悪感からなのかいつも会うのは、だいたいホテルだ。
どこで会ったって、どこで何をしたって私たちが付き合っているという事実は変わらないのによくわからない駄々を捏ねるのが本当にめんどくさい。
私の携帯がふと音を発する。ディスプレイを見ると彼からだった。
「なに?」
素っ気無いと分かっていても冷たくなってしまうのは、彼が今日は行かないと告げるのを予感しているからだ。
「今日は行けない」
ほらね、と心の中で思いながら、了解。とだけ返事をする私。
電話を切って思う。私は彼のどこが良くてこんな関係をただひたすらに無意味に続けているのだろう。
お互いが成長するわけでもない、ただお嫁さんの愚痴を聞くだけの私にどんな価値があるというのだろう。
だけど、彼のことが捨てられないのは
ホテルから会社に行くときのあの後ろ姿がかっこいいからだ。
その面影をツマミにまた、私はビールを飲み進めるのだった。
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