「変なこと」がいつから始まったかを考えると、おそらく最初はこれだったんじゃないかと思います。

 

最初のトラブル

2007年ごろ、私は東京都北区のあるマンションに引っ越しました。

新築の鉄筋コンクリートの低階層マンションで、大家さんも住んでいました。

 

私は当時IT系の零細会社に勤めるサラリーマンエンジニアで、銀行系の仕事でいわゆるデスマーチに当たってしまい、一番ひどいときは朝9時(家を出るのは8時)~翌26時(深夜2時、家につくのは3時過ぎ)までの過酷な勤務状態だったのを覚えています。

(一次請けの大手企業(富○通とか)が無責任に「その変更なら可能です」とか「ここまでには終わります」と発言した責任を、下請けの我々が無茶な勤務で尻拭いする、という状況が当時は割とありました。今はどうなんだろう?)

 

そんな中、2008年にリーマンショックが起こります。

経営状態がどうだったのかわかりませんが、社長がこのタイミングで「会社を畳む」との話になりました。

私は心身ともに疲れ果てていたこともあり、猶予はあったのですが次を決めずにそのまま無職となりました。一年行かないくらいの長い期間ぼーっとしてたと思います。

 

「次はどうしようか」とうっすら考えながら過ごしていたある日のこと。

コンビニから帰ってくると、乳母車の赤ちゃんを連れた若い夫婦とすれ違いました。

 

休日は引きこもりで、仕事も朝晩行って帰るだけの生活だった私は、マンション住人の顔を全く知りません。

ですが来た方向から、その人達は恐らくマンション住人なんだろうなと思いました。

 

「すごいこっち見てる気がするし(おっさん化とともに視力低下が始まった頃でした)会釈したほうがいいのかな?」とちょっと迷っていたんですが、文章では説明が難しいのですが、近くに来ると、ご夫婦の、特に奥さんのほうがものすごく緊張しているのがわかりました。顔がひきつっているといいますか…。

「えっ?」という感じで私もなんだか緊張してしまい、その時ははそのまま通り過ぎました。

 

このことはいまだに覚えているほどで、当時ももちろん「なんだったんだろうあの感じ」という風に気になっていました。

その数カ月後、私がまだ無職の時に、お隣が引っ越すようでドタバタ音が聞こえ始め、一度不自然にドーンと壁が鳴りました。

その時はなにか倒したのかな?程度にしか思っていなかったのですが、作業そのものが気になったので玄関のレンズから覗いてみると、一家親類総出といった感じで、おじさんから若い兄ちゃんまでが協力して荷物を運んでいました。

突貫作業感がありました。

その時に、お隣はあの夫婦だったんだと知ります。赤ちゃんが隣りにいたなんて全く気が付きませんでした。

ご夫婦はオーナーの親類だったのかわかりませんが、同じマンションの一階に移動していました。

 

で、荷物を運んでいる途中で若い兄ちゃんが一回だけものすごい目でこっちを見ました。睨んだといっていいと思います。覗いている私を見たと言うよりは、隣の(私の)部屋を憎々しげに見たという感じでした。

 

私は会社勤めの時に毎日深夜帰宅していたこと、その後無職で家にいることなどから、あのすれ違いの記憶もあり「なにか迷惑かけてたのかなやっぱり」と後ろめたく思ったのを覚えています。

 

例えばドアの開け締めや足音など、ごく普通の気遣いはしていたつもりなのですが、当時は尋常じゃないほど疲れていたので、気づかずなにかしてしまった可能性もあります。

その後そのこともあり悶々と過ごしていましたが、ある日引っ越された隣の部屋から掃除?をしているようなカタカタした音が聞こえ、その後「ブーーッ」という大きなおならの音が聞こえました。

壁にお尻をつけて?無理やりこちらに向けておならをしたような感じでびっくりしたんですが、それで何が奥さんの迷惑になっていたかがわかった気がしました。

 

私は職業柄1日18時間を越えようかと言うレベルで粗末な椅子に座っていたこともあり、当時からひどい痔持ちでした。(今もです…)

また、緊張するとお腹にガスが溜まってしまうという持病?もあり、ひどい時はガスピタンなどの薬を飲んでいたほどです。

痔持ち+ガスが溜まりやすいというのは最悪で、オナラをする時にどう頑張っても「ブーーッ」というものすごい音がしてしまいます。

ですので会社では都度トイレに行けばいいのですが、電車/タクシーに乗ってから家までの道のりは遠く、当時は家のドアを締めた瞬間に溜まったガスを出してやっと一息つく、というのが日課のようになっていました。

 

改めて書くと「あまり関わりたくない人」みたいな変な行動だと自分でも思いますが、趣味や癖ではなく病気と体質なのです…。お隣さんは恐らくこれが聞こえていたんだと思います。

毎日のように深夜に屁を隣家の壁に向けて(向けてないですが…)響かせる隣人。

こう書くと冗談のようですが、リアルにそんな人がいたら確かに異常者以外の何物でもなく、怖いとは思います。

一言遠回しにでも言ってくれれば…とも思うのですが(間違いなく平身低頭して謝っていました)、まあ、、難しかったのかなぁ。

鉄筋コンクリートで新築マンションでしたし、私は隣に聞こえているなんて夢にも思わず、ただ緊張から開放されていただけなんですが…。

 

直接何も言われていないため、起こったことの端々からの想像でしかありませんが、十中八九これが原因で、私は「迷惑な住人」になっていたんだと思います。

奥さんはちょいノイローゼ気味かも?というくらいの感じで、赤ちゃんと若奥さんに嫌がらせをする異常者、くらいの認識になっていたのかも。

当時はわけがわからないモヤモヤが晴れたものの、今度は「なんで一言言ってくれなかったんだろう?」みたいなモヤモヤが生まれてた気がします。

 

そして隣に、新しい方が引っ越してきます。

 

続きます。