タッタッタッ・・
階段をのぼる音には悲しみと怒りが込められていた。

許せない。絶対に。



2階に着くと、なにやら人影が見えてきた。

「待ちくたびれたよ~、カツオく~ん」


「あんたは・・・・どうして・・」

タバコをふかすその唇は印象的過ぎて見間違うことはないだろう。


唇はたらこなのに名前は・・・

「アナゴさん・・・!」


アナゴは不敵な笑みを浮かべてタバコの吸い殻を落とした。


「君があまりにも遅いから、もう一箱吸っちゃったよ」


足元を見るとタバコが散乱していた。

「あ~あ、これでニコチン中毒になったらどうしてくれるんだ?えぇ!?」

そう言って、くわえていたタバコをカツオに向かって吹き飛ばした。


「なにすんだ・・・!」


「何すんだ・・だって?ふふん・・何って・・今から君を・・・・・・殺すんだよ」

そう言うやいなや、カツオの首を掴み上げた。


「うぐっ・・・ぐっ」


「ハッーハッハッー。もがきたまえ」


急に捕まれたので持っていたバットを手から落としてしまった。


そして、抵抗も弱々しくなり、声もか細くなり、ゆっくりと意識が落ちようとしていたその時!



「やめろーッ」


「んん?」


威勢の良い声と共に野球のボールが投げつけられた。