紅く、天に向かってそびえ立つ魚介ビルを忌ま忌ましく見つめるカツオ。

唾を飲み込み、バットを握りしめ、ゆっくりと中へ入る。しかし―――――


「誰も・・・いない?」

受付のお姉さんも観光客も誰もそこにはいなかったのだった。


「まあ、これはこれで好都合だが―――」

確かにバットを持って入るような不審者は入場を禁じられそうなものだ。

しかしそのとき、地震でも起きたのかという程の揺れと、何が爆発したような音と、叫び声が聞こえた。

まさかと思い、エレベーターを空けると、そこには―――

「ノリスケおじさん!?」

「あ、ああ・・・カツオくん・・やつを・・マスオくんを・・止めてく・・れ・・・・あいつは・・くるって・・る」


――――その頃屋上では


「ハハハハハハ・・・動揺してるよ、カツオくん。もしかして、怯えてるんじゃない?・・お?こっちに昇ってくるつもりだよ?愚かだねぇ・・どうせ殺されるのに。ねぇ、サザエ?」


マスオの言葉にサザエは睨みかえすのみだった。


――――ロビーでは


「とりあえず、救急車を」

「いや・・・待て・・カツオくん・・・・救急車なんて呼んだとあいつにしれたら・・・サザエさんは・・・もう・・ぐふっ・・・僕のことはいいから・・・とにかくあいつを・・げふぉっ・・・はやく・・・と・・め・・・」


「ノリスケおじさん?・・・・なあ、おい・・・ノリスケおじさん?・・冗談だろ!?・・・・・・おじさん!?・・・おじさぁぁぁぁぁぁん」