聞いて聞いて。
私、見たの。
何をって?浮気現場![]()
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
我々取材班は、明らかに挙動のおかしい女性(おそらく三十過ぎ)を発見。
―――――変な人に声をかけてもロクなことにはならない
その教訓を生かしてスルー・・・
「聞いて聞いて」
冒頭の台詞を・・・![]()
「な、なんですかー?」
とりあえず、愛想笑いをしておこう。
すると、彼女は目の前にある塀から顔を半分だけだして、向こう側を指差した。
「う わ き 現 場」
そう言うと振り向いて、ニコっとし、ウインクまでかましてきた。
三十代(だと思う)にして、この若さはどこから出てくるのだろうと思った。
とりあえず、取材班は塀の向こう側を・・・!!
「幸子・・」
思わず、声をもらしてしまった。
女性は、取材班・・というより私、黒田の顔を見てきた。
「知り合いなの?」
言うまでもなかろう、私の奥さん、元の苗字は今井で・・・元・古井 の妻で、今は私の妻である。
・・・少々取り乱してしまったが・・ここは、広報部の山口に・・・
って、PSPをするなッ!
「もしかして、奥さん?」
「ギクッ」
初めての経験だった。
ギクッなんて言葉が口から出てくるなんて思ってもみなかった。
「班長、お言葉ですが」
後ろから、声がする。
彼女は、アシスンタントの野中くんだ。
「班長が、昼間、このように仕事かどうか怪しいようなことをしているから、奥さんに逃げられるんじゃないんですか?」
野中くんは、お言葉がお言葉過ぎる。
もう、嫌みにしか聞こえん、というか、はじめからそのつもりだろうけど・・・
「それに、確か古井さんの回に、『今井は黒く染まった』みたいにうまく終わったつもりでしょうが、本当に、黒く染まってるみたいですよ」
めちゃくちゃだ。
私事を記事に持ち込むと、その記事が乱れてしまう。
感情の起伏を文面で表すなど、もはや、小説に過ぎない。
取材人生10余年。
これまで、色んな取材を行ってきたが、私ももう・・引退か。
「引退?じゃあ、どうやって奥さん取り返すの?」
三十路の女性は、こっちを見て言った。
てか、まだ、取られては無いんだけどね。
それより、この人、地の文読んでねーか?
「読めるわよ。それより、ほら、ここで飛び出していかないとっ!」
私は、二人の女性に背中を押されていちゃつく我妻と知らない男の元に走りこんだ。
「お前・・・何してる?」
妻と目が合う。
時が止まったかのようだった。
ハッとして、妻は言う。
「アンタが、あまりにも黒かったから・・・・白く染められたくて・・・」
また、それか・・・。
妻は、俯いている。
「そういう話は、最初の回で終わったんだよ!苗字が形容詞なんてネタは何度も使えないんだよ!」
「いや、別にボク、大村ですけど・・」
えっ?