まろベビ 190時間の軌跡~9~ | ぷりんno日常生活

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犬話を中心に日々のど~でもいい事を なんも考えずにツラツラと…
内容に一貫性の無いグダグダ日記です。

6月10日(木)9日目


6:00 明らかに元気が無く、動きが鈍くなり鳴き声も弱くなる。

口をパクパクさせるようになり呼吸が苦しそう。

少しでも楽になるなら…と病院に電話し酸素吸入をお願いする。


<病院の話し>

何度も言うが連れて来ても治療も出来ず、酸素吸入も意味があるかどうかすら分からない。

回復は望めないと思うけど、希望であれば受け入れますが…。


7:00 

パパを起こし状況説明し、病院に連れて行く。

息使いがかなり荒く体全体で息をするようになるが、か細い声で鳴き続けている。

体はほとんど動かないが、吸入器に入れてから20分後くらいに大きくノビを2回する。

その時に自力で排便。

頭を持ち上げようとしたり腕を伸ばしたりしたので、一瞬、回復しているのかと期待する。


<病院の話し>

呼吸の仕方を見ていると、かなり危険な状態です。

舌の色を見てもピンクだし、自宅では母犬が世話もちゃんとしてる。

ミルクを飲んだり排便もきちんと出来ているので、考えられる問題も特に無く、

原因が全く分からないので手の施しようがありません。


それは…たとえ原因を予想出来たとしても、この小ささでは

聴診器すら当てられない、検温も出来ない…

薬の投与も出来ない…点滴も打てず…何も出来ない。


この子の状態では何も調べられないが、もともとの吸うチカラが弱いので、

もしかしたら飲んだミルクが肺に入ったのかもしれない。

その場合、肺は異物を排除する機能が無いので、じっくりじっくり時間をかけて

自然に排除されるのを待つしかないが、その場合、体力も必要なのだけど

そのチカラがこの子には無いだろう。

また、その場合、必ず肺炎も併発する。肺炎を併発した場合、この子には何も処置が出来ない。

全ては、この子の生命力としか言いようが無い。


ただ、チアノーゼも出ていないし、顔色も悪く無いので、

その可能性も考えにくく、この状況になっている原因が全く分からない。

どの症状の可能性かも見当もつかない。


もう少し育っているとか大きい子だったら、まだ何らかやれる事が有るのかもしれないが

この子には何も出来ない。


このまま病院の吸入器の中に居ても回復できる見込みはほとんど無く、

ここに居れば呼吸は少し楽にはなるけれど、母犬のぬくもりも感じられ無い。

一番言いにくい事ですが…最悪、亡くなった時に立ち会えない可能性があります。

しかし連れて帰れば自力での回復は望めない。


ようは、

家族から離してでも呼吸の楽な方を選択し奇跡に期待するか、

命を縮める事になっても家族とともに過ごすというメンタル面を重視するか…

「どちらかを選択してください」との事。


究極の選択を迫られる。。


ならば…両方の条件を揃えれば良い。自宅に酸素吸入器を用意すれば良い。

この子が、家族から離され病院でもしもの事があったら…と思うと不安も有ったけど、

自分達の気持より、この子が少しでも楽な方を選び、

この子が私達のいない時に一人ぼっちで逝くワケが無い、と信じ…

お預けし、いったん家に帰る


9:00 事前に調べておいた酸素吸入器の会社に電話する。

無理を言い、すぐに持って来てもらうように手配し、設置。


11:00 ベビを迎えに行く。


<病院の話し>

正直…今、生きてはいますが・・・もう時間の問題です。

産まれた時に「今日1日もつかな?もてば良い方だな」と思っていたので

1週間生きていた事自体が奇跡で私達は正直言って驚いています。

それは、お母さん犬が懸命に子育てし、この子が生きようとしてた…本能だと思います。

この子の状態で1週間生きてこれた事はすごい事です。


連れて帰ってからは、基本的に吸入器の中に入れてあげて

ミルクを少しずつ含ませてあげてください。


お母さんがお世話をしたがったら、この子の負担の無い程度に、

お母さんにはお世話をさせてあげて、お母さんのぬくもりを感じさせてあげてください。


可能性は限りなくゼロですが、お母さんの仕事はさせてあげてください。

あとは、この子の生命力です。それはこの子にしか出来ない事。

人間が出来る事は介添えのみです。

悔いの無いように、やるだけの事をやってあげてください。


大変申し上げにくい事ですが…

もう奇跡が起きる可能性も非常に低いです。

生命力とはイコール大きさ、と言うのが私達の基準になります。

もう少し大きければ生命力も強いですが、この大きさでは生命力は弱く

この状態は、もう生きていくだけのチカラは、ほとんど無いです。



11:30

帰宅。まろん大興奮。まず、汚れたお尻、顔を舐めさせる。

吸入器に入れると、まろんは「出して!出して!まーちゃんの赤ちゃん出して!」と大騒ぎ。

なだめたりして落ち着かせ、家族みんなでベビを見守る。

ミルクを口に含ませる時に開けると、まろんはその度に舐め、戻すとまた大騒ぎ。

10~30分毎にその繰り返し。


14:40頃

少し体温が下がってきたように感じたのでまろんの胸に抱かせてあげる。

まろんも喜んで横になる。

そして、どうせならスポイトでは無く、まろんのおっぱいから直接ミルクを含ませてあげようと

乳に口を当て、乳を搾り含ませる。

この時はもう、か細い鳴き声すら出ていなかったけど

ベビちゃんのとても嬉しそうな顔を見て、私も嬉しかった。

奇跡が起こるんじゃないかと思った。

「ひとりじゃないよ、みんなで頑張るんだよ、頑張れ」と声を掛け続ける。


吸入器に戻し、少し目を離し(時間にしたら5分くらい)覗いてみたら、

少し動いていたので位置を戻そうとしたら…もう口をパクパクさせずに閉じていた。


優しく抱き上げ呼びかけた時、ほんの少しだけ腕を動かしたようにも見えたけど…

背中をさすったり、まろんに舐めさせたりしたけど…もう、お腹も背中も口も動かず…

どんな時も頭を持ち上げようとしてた動作も見られず…

これ以上、背中や胸をさするのも可哀想だと思ったので手を止め、時計を見た。



2010年6月10日午後2時55分 死亡確認 生存時間約190時間(7日と22時間)
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表情は全く苦しそうな顔をしていなくて、とても安らかで可愛い顔をしてた。

穏やかで・・・笑っているような、とっても可愛い顔。。


全く動けない子が動いていたのは…最期の気力を振り絞ったのか?

最期に私に見つけて欲しかったのか?

それは分からないけど…気付かずに放置するという事にならなかったのが、せめてもの救い。

最期の瞬間は私に抱きあげられた時、まろんに舐めてもらった時だったと信じたい。。


病院での状態をパパに報告するために撮った写真が、ベビちゃんの最期の写真になっちゃった。。
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9日目に入ったものの…実際には8日間には少し足りず…丸7日と22時間…

たった190時間の短い犬生だったけど…とても楽しく、とても幸せな時を過ごせたと思う。

少なくても私はとても幸せだった。


眠かった事も…こまめな授乳も…常に心配と不安でいた事も…

ちょっとでも離れるとピーピー鳴いてた事も…懸命に手を探したり…ママを探したり…

頑張ってぱいぱい飲んでた事も…ママによじ登ったり…股の間に入って隠れてしまったり…

ママと一緒に寝てる幸せそうな姿を見せてくれたり…

なにもかもが一瞬一瞬が幸せだった。


名前も決まらず、アッと言う間に天国へ逝ってしまったけど、とても充実していたし…

「まろベビ」との想い出は、この先ずっと私の心の中に生き続ける。

残せた写真も少ないけれど、時折見ては楽しかった時間を思い出し、幸せに浸ろうと思う。


ベビちゃんが8日間頑張って生きてくれて元気な姿を見せてくれたのは

「辛い…」「大変…」なんていう思いだけを残す事だけはしまいと

「楽しい!」「幸せ!」という思いの方を強く残したくて頑張ってくれたんだと思う。

だから、やっぱり「ありがとう」しか出てこないんだね。


ウチの子に産まれて来てくれて、本当にありがとう。

可愛い姿をいっぱい見せてくれてありがとう。

頑張って生きてくれてありがとう。


だけどね・・・やっぱりね・・・

みんなに協力してもらった まろんの大変だった交配から始まって…

まろんが命がけで産んでくれた大事な命…

まろベビが一生懸命生きてくれた大事な大事な命…

もっとちゃんと守ってあげられなくて・・・

ごめんね。。。


それでも…もし許されるのなら…

またウチの子に産まれてきて欲しい。。